経産省が「電力先物市場」創設! 電気販売企業も発電事業参入企業も、電力価格の安定によって経営上のリスクを回避できる。
電力供給の新時代到来
経済産業省が、2016年秋にも「電力先物市場」を創設します。東京商品取引所がシステム開発を進めます。電力の小売り自由化が来年4月に迫る中、家庭に電気を販売する新規事業者が、安定した価格で電力を確保し、事業の見通しを立てやすいようにするのが狙い。これにより、新規参入と競争を促そうというわけです。電力供給は、ようやく新時代に入ります。
将来の電力コストを確定できるメリット
先物市場を導入するメリットとは何しょう。電気販売企業は、将来、電力コストがいくらかかるかを、前もって確定できるようになります。市場には、商品が余っていれば価格が下がり、商品が不足すれば価格が上がるという原理があり、価格が不安定だと経営上のリスクになるのですが、それを避けることができるのです。そのうえで、たとえば1キロワット時11円で先物を買い、決済時の購入価格が13円であれば、調達コストを2円分浮かせられます。発電事業に参入する企業も、将来の売電価格が確定するなら、電力価格の下落に備えられます。
経済産業省によると、先物市場に参加するのは、新規参入組だけでなく、既存の大手電力や商社、金融機関なども含まれます。そなると、懸念されるのが、投機的な取引、いわゆるマネーゲームや、買い占めなどの行為。これについては、「売買量の制限や、市場が過熱した際の取引の一時中断などの仕組みを導入し、対応する」と強調しています。諸外国の先行事例が参考になるでしょう。電力だけでなく、発電用燃料に使う液化天然ガス(LNG)の先物市場も開設します。
北欧では電力消費量の2倍以上が市場で売買
欧米では1990年代以降、電力自由化が進み、それと歩調と合わせて電力先物市場が整備されてきました。北欧では、実際の電力消費量の2倍以上が市場で売買され、電力の安定供給を支える働きをしています。福島第一原発事故を受け、国内では、水力、火力、原子力などをどうバランスよく組み合わせるかの「エネルギーミックス」の議論が盛んです。今回の先物市場創設も、同じく「安定供給」を目指す試みといえます。
[2015.7.21]
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