大卒新卒の就職内定率が8割越え!懸念は業種や会社規模、雇用体系,地域に目立つ格差
有効求人倍率、リーマンショック前の水準に改善
東京データバンクは3月12日,平成27年度の雇用動向に関する1万593社の企業の意識調査結果を発表。人材不足が深刻化するなか昨年12月の有効求人倍率は1.15倍。平成4年3月以来22年6ケ月ぶりの高水準となりました。大学新卒の就職内定率も昨年12月時点で80.3%と4年連続で上昇しており、リーマンショック前の平成20年の水準に迫ってきました。
一方,地域間や業界間、社員・非正規社員などの雇用動向には依然として格差もみられます。雇用環境の改善時期がすでに回復していると考える企業は1割に達するものの、小規模企業ほど長期的な雇用の改善は見込まれていません。
採用後ろ倒し、大企業は問題ないものの中小は時間短く懸念
来年春の卒業予定者の採用時期は後ろ倒しとなったものの、企業の採用活動に「不利になる」と応えた企業は約1割。この傾向は大企業でより高くなっており,中小企業においては時間が短すぎると内定自体に対する懸念も残ります。従業員1,000人以上の企業では,注力する人材は「若者」が最多で,3社に1社が女性の進出に注力するとしています。
昨年まで大企業や一部業界にとどまっていた正社員の採用意欲の高まりは広がりをみせ、「採用予定がある」と応える企業は全国10地域すべてで6割を超えています。業界別でも,10業種中7業種で6割台に上っています。このようななか、中小企業の採用意欲も高まっており昨年度から4.9ポイント増加しています。
安倍政権「学生は学業を重視」就活後ろ倒しに
来年春の卒業予定者から安倍政権は「学生は学業を重視」と会社説明会などは3ケ月,選考活動は4ケ月遅らせることになりました。就職活動の後ろ倒しにより自社の採用活動に影響があるかの問いに「影響はない」と応えた企業は約半数。一方,「不利になる」との回答は11.1%と就職活動の後ろ倒しにより、自社の採用活動への影響を懸念する様子も伺えます。
就職活動期間の短縮で学生が企業を知る機会の減少も懸念されており,中小企業では大手の内定が遅れれば,中小企業が採用を内定した後に大手に採用が決まるなど内定辞退の発生が危惧されています。
非正規社員採用,8年ぶりに5割超え
これまで大幅な落ち込みを経て採用に前向きな企業は全国的に広がりをみせており,雇用や所得環境の改善は増していくことが見込まれます。一方、非正規社員の採用予定のある企業は平成19年以来、8年ぶりに5割を上回り,リーマンショック後の大幅な人員整理に直面した非正規社員の採用状況も大企業を中心に大きく改善してきました。
平成27年度の企業の採用意識は着実に改善しているものの,新たな採用ルールによる影響も測りきれず、試行錯誤する企業も多くみられます。深刻さを増す人材不足は雇用環境改善に繋がるか注視されます。
[2015.3.20]
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