地元企業へ就職を条件に奨学金返済減免!地方創生「若者の流出に歯止め」に選択肢を奪う懸念
自治体、産業界共同で奨学金基金創設
安倍政権は、平成27年度から地方に就職する大学生に、学費を支援する新たな地方活性化策の方針を示しました。大学卒業後に、地方で一定期間働くことを条件に、自治体や産業界と共同で奨学金の返済を減免するための基金をつくるとしています。
安倍政権の重要課題である地方創生につなげるため、学生が地元に残るよう促し地方の活性化を図るとしています。しかし、学費を人質に学生を地元に縛りつけ、本来持つ学生の能力の選択肢も奪うようにも見えます。
奨学金の返済が社会問題化
大学生にとって奨学金の減免は魅力的なものですが、ここ数年、日本学生支援機構などの奨学金の返済が社会問題化しています。以前は学生は卒業後就職し、年功序列で賃金が右肩上がり。毎月の返済もスムーズに行われていたものの、低賃金での非正規雇用やブラック企業など離職に追いつめる状況に返済も滞ってきました。
日本学生支援機構の発表によると平成24年末時点で奨学金を利用している人は約290万人と全学生の52.5%に当たります。このうち3ケ月以上延滞している人は約19万に上っています。
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」:若者の都心流出防止策
安倍政権は、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を政策の目玉にするものの、地方に就職するなら奨学金の返済額を減免。国や地方自治体、地方企業が連携して若者が地元で就職し、都心へ人材流出を防ぐというものです。
この政策だけをみれば、家庭や学生の弱みに付け込み、無理矢理地方に若者を残らせようとも見られますが、就職情報大手のマイナビの平成25年調査によると、関西の就活生のうち地元の就職希望者は75.8%。「何が何でも東京で就職」するという意識は薄まっています。
経済的に不利な状況の若者を支援
奨学金返済の減免は、家庭や地域の事情によって経済的に不利な状況にある若者を支援することであり、目的はやる気・能力がある若者の活躍の場を増やすことになければなりません。少子高齢化がすすみ大学の数は増え、選ばなければ大学へ進学できる時代。どの地域で,何を学び,どのように地域に貢献していくのか学生や大学,企業、自治体などが連携し、「ただ、大学へ行く」の考えを見直す時期にきています。
[2015.1.8]
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