【今年を読む③】平成26年の「全国企業倒産件数」から今年の動向を読む
上場企業の倒産は24年ぶりにゼロ
国内に上場する企業の倒産は、昨年ゼロとなる見通しとなり、ゼロになれば平成2年、24年ぶりとなります。アベノミクスによる株高により保有株式の価格は上昇し上場企業では資金繰りが改善。金融機関の貸出姿勢が好転したことも寄与しました。
中小企業を含む全国の企業倒産件数は、昨年1月〜11月に約8,500件と前年同期から約1割減少。大企業を中心とした上場企業は、株価上昇の恩恵を受け,手元資金を積み増し倒産リスクも減少しています。
リスケ、公共事業前倒し発注で倒産抑制
アベノミクスによりデフレ脱却しつつあることで輸出型企業など円安の影響で業績が好転しました。ただ、金融機関は、企業に対し中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)に応じ、さらに景気対策の公共事業の前倒し発注などで倒産を抑制していることも事実です。
金融庁によると、平成21年12月から26年3月までのリスケジュールの申請数は552万9,573件。総額150兆2,926億円の返済は止まったままです。
急激な円安,消費税増税が中小の負担に
一方,急速な円安は海外からの輸入に頼るエネルギーや原資材,食料品など幅広い分野で物価を押し上げ,さらには消費税増税と価格転嫁が進まない中小企業の体力を消耗させています。
昨年1月〜11月の円安関連倒産は、259件と前年同期から倍増。原油価格の急落も帳消しにするほどの急激な円安のため,今後の円相場の推移次第では今年は倒産の増勢の懸念も残ります。
第2の人生に再挑戦,債権放棄のルールを緩和
経営難に陥った中小企業の経営者が「第2に人生」に再挑戦するため,転廃業する動きが広まりつつあります。100社弱の企業が地域金融機関を通じて政府系ファンドの地域経済活性化支援機構に支援を打診。今年早々に信用金庫の取引先で第1号がまとまる見通しです。
安倍政権は、企業が不振事業を切り離し事業再生しやすくするため、債権放棄など取引金融機関に求めるルールを緩和。会社更生法のように法律に頼るのでなく、私的整理を促すなど、産業の新陳代謝が今年は広がりを見せようとしています。
[2015.1.3]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 【今年を読む③】平成26年の「全国企業倒産件数」から今年の動向を読む
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/1979
コメントする