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クリスマス商戦に打撃?!恐怖の「バター不足」再来/その場しのぎの緊急輸入では「慢性化」は不可避

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悪夢再び!「消えたバター」の怪
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秋の商品値上げが騒がれていたころ、家人が一際嘆いていたのがバターの高騰でした。ところが先頃、「値段が元に戻ったと思ったら、内容量が3/4(200g→150g)に減っている」と憤っていたかと思いきや、「バターがさっぱり買えなくなった!」と慌てています。
店頭での様子を見てみると、最寄りのスーパーでは確かに陳列棚の一部が空になっており、「全国的な原材料不足により供給が不安定な状況になっている」との断り書きが。かつて何度か日本中を騒がせた「バター不足」の再来です。

猛暑、TPP、飼料高騰...トリプルパンチで「配給制」に
今回の極端な品薄の原因を探ると、昨夏の猛暑で乳牛の体力が落ちて出産できない牛が多くなったため、搾乳量が減ったのが主因とされています。加えて、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加や飼料価格の高止まりで酪農家が減少、生乳は牛乳や生クリーム用が優先され、保存性の高いバターへ回るのは最後になるという事情もあり、今年の夏以降は小売店でも必要な量を確保できない状態が続いているとのこと。
支援先のスーパーマーケット経営者に話を聞いてみると、「いくら発注しても少量しか入荷しない。バターだけが配給制のようだ」と語っていました。
 
農水省:2度の緊急輸入措置発動
また、商売にバターが欠かせない製菓・製パンメーカーや洋食店にも困惑は広がっています。周囲の商店や飲食店を見てみても、消費落ち込みが続く中での安易に値上げには踏み切れず、「1日○食限定」と提供数を調整したり、バターをマーガリンで代用したりと、苦肉の策で乗り切ろうと、努力している様子が伺えます。
農林水産省は今年5月、品薄が表面化する前にバター7,000トンの緊急輸入を実施しました。ところが一向に事態は改善の様子を見せないまま巷はクリスマス商戦に突入。9月26日、農水省は再びバター3,000トンの緊急輸入措置を発動しています。

「その場しのぎ」に過ぎない緊急輸入/「慢性化」回避には構造改革が急務
確かに、今回の措置によって、当面のバター需給は安定することでしょう。しかし、同様の騒動はここ20年ほどの間に度々起きており、バター不足は半ば慢性化しているのが実態です。緊急輸入措置は小手先の手法にすぎず、抜本的な解決にはつながりません。
高齢化や、円安による原料費の高騰で、酪農家の廃業は後を絶たず、それに伴い、生乳生産量も落ち込みを続けています。現在のように「余った生乳をバター製造に回す」という構造のままでは、この先も騒動が繰り返されることになるのです。これを回避するためには、政府・業界一丸となっての構造改革が求められます。

[2014.11.21]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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