御岳山噴火災害救助、魅せた自衛隊ヘリ「UH60JA」の「神業」操縦
戦後最悪の火災災害
長野県の御岳山噴火対策本部は10月16日、今年の捜索を中止し、来春以降再開することを決めました。戦後最悪の火山災害となった御岳山の噴火は,57人が亡くなり6人の行方不明者がいることから捜索を続けていましたが、雪や凍結で捜索活動は厳しい状況に断腸の思いでの決断でした。
捜索活動では,警察,消防などとともに災害派遣された自衛隊の姿が映し出されました。東日本大震災での救助活動や最近では広島や伊豆大島の土砂災害など身をていした活動が報道されています。
気圧、気候が不安定ななか低空ホバリングで救助
救助活動で印象深く残ったのは、人力での捜索で御岳山頂上から麓へ向け1,000名を超える救助隊が山の隅々まで探す姿。さらに、気圧も気候も不安定ななか山頂すれすれの低空をホバリングしながら救助する自衛隊ヘリコプター「UH60JA」。火山灰が,舞い上がり視界も悪いなか複数の登山者を救助しました。
UH60JAは、米シコルスキー社が開発し、三菱重工業がライセンス生産する国産ヘリコプター。陸海空自衛隊に導入されるほか各国にも多く採用され,米国では特殊作戦にも用いられます。
警察、消防出動断念の際の最後の切り札
UH60JAは、日本では救難などが主な任務であり、これまで救った命は数知れません。同機は、赤外線暗視装置やGPS(衛星利用測位システム)、ワイヤーカッターなどを備え,警察、消防などが悪天候などで出動を断念せざるを得ない場合の最後の切り札となっています。
自衛隊のヘリコプターは、山岳地帯や海上などで高度な技術を駆使し人命救助を行っています。御岳山のUH60JA救助活動は、ネット上では「神業」と絶賛する書き込みが多くみられました。標高3,000mを超えるUH60JAの救助活動は困難を極めるなか,救助活動を行うことができました。
高リスクな任務の裏には厳しい訓練
ヘリコプターはホバリング(空中停止)の際、エンジン出力を限界近くまで上げなければならず、山頂付近ではあらゆる方向から突風が襲いかかる状況下におかれていました。高リスクな任務を行えるのは日頃からの厳しい訓練が背景にあります。エンジンには灰などの異物が混入しないように空気吸入口には特殊フィルターも備え付けられました。
これまで自衛隊の救助活動は,極限場面においても「当たり前」との見方もありましたが、ここ数年の救助では被害者、地元住民から「ありがとう」の言葉が多く報道され励みとなっていることでしょう。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 御岳山噴火災害救助、魅せた自衛隊ヘリ「UH60JA」の「神業」操縦
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/1901
コメントする