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法人税減税,大企業の穴埋めに赤字の中小企業から増税?!「外形標準課税」経済3団体の猛反発で来年度は見送り

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商工会議所、商工会連合会、明確に反対姿勢
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日本商工会議所や全国商工会連合会など中小企業3団体は10月7日、総務省の「地方税改革に関する検討会」で法人税減税の代替えとなる財源として、外形標準課税を中小企業に広げる案に明確に反対姿勢を表しました。
安倍政権は、6月に閣議決定した経済財政の指針「骨太方針」で、現在35%程度の法人実効税率を数年で20%台に引き下げることを明記。税収の穴埋め財源として政府税制調査会は、法人税改革の提言で資本金1億円超の大企業を対象とする外形標準課税を中小企業にも適用する案を示していました。

今年度の外形標準課税は約6,300億円
外形標準課税は、法人事業税の一部で平成16年度から導入されました。資本金1億円超の大企業が課税対象で所得に関わらず、従業員の給与総額や資本金などに応じて税額が決まります。赤字企業も課税対象となり全企業の約1%にあたる2万4,000社が納税し、今年度の税収は約6,300億円が見込まれます。
中小企業は,景気回復の効果が未だ届かず4月の消費税増税分を転嫁できていない企業も少なくありません。大企業の財源の穴埋めを中小企業へ回す安易な案は到底受入れることはできません。

中小への適用は先送り,大企業の課税強化を優先
政府・与党は10月9日、幹部会合で中小企業に対する増税施策は、大企業より業績回復が遅れてることから平成28年度以降へ先送りし大企業への課税を強化する方針を示しました。経団連はすでに中小企業を外形標準課税の対象に加えないことを表明。安倍政権は、こうした声に配慮し中小企業への適用拡大は慎重に検討し,大企業の課税強化を優先する方針を示しました。
地域に雇用を創出する中小企業は、さらなる増税で経営が不用意に圧迫され地域経済の活力が損なわれたら「地方創生」の目標も危ぶまれます。

財務省:税収穴埋めを2段階で行う工程表作成
財務省は10月9日までに、法人税を来年度から引き下げることで生じる税収減の穴埋め財政確保を2段階で行う工程表を作成。案によると第1段階として来年度、外形標準課税の強化として法人税に占める割合を現在の4分の1から2分の1まで拡大。約7,000億円の税収を確保するとしています。さらに利益から過去の赤字を差引き納税額が減額される「欠損金の繰越控除」を縮小。企業が受け取る株式配当への課税も強化するとしています。法人税減税に伴う代替え税の行方が注視されます。

[2014.10.14]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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