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金融庁、モニタリングリポート初公表!儲からぬ地銀、第2地銀のビジネスモデル「中長期的に成立しない」

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1年間の金融モニタリング成果を公表
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金融庁は7月4日、平成25年事務年度(平成25年7月〜26年6月)の「金融モニタリングレポートの概要」を初めて公表。同庁は、昨年9月に策定した金融モニタリング基本方針に基づく1年間の金融モニタリング成果をまとめました。
このなかで地銀、第2地銀のレポートでは、生産年齢人口の減少に伴い各地域で貸出市場の規模の減少が予測されている。一方,多くの地銀、第2地銀では、中期経営計画で貸出残高の増加を目標としていることを指摘。金融庁の指針と金融機関側の思惑は合っていません。

大企業、地方公共団体向れ貸出では利ざや低下
さらにレポートでは、地銀、第2地銀が融資拡大のため大都市圏において大企業や地方公共団体向け貸出など、融資審査にコストの負担はないものの、利ざやの薄い貸出が増加。地銀、第2地銀の貸出に関わる収益性は全体として低下。これまで経費削減など対応できたものの、さらなる経費削減は営業力や目利き力の低下を招く懸念があるとしています。
金融庁では,生産年齢人口の減少の予測を元に地銀、第2地銀が経営基盤としている都道府県の平成37年3月末時点での貸出市場を予測。「いづれの地域も貸出残高は減少する」と指摘。貸出の量的拡大のビジネスモデルは「中長期的には成立しない可能性がある」と危機感を示しました。

日銀:地銀、第2地銀の貸出残高は増加
一方,日銀が7月8日発表した6月の貸出・預金動向をみると地銀、第2地銀の貸出残高は前年同月比3.6%増。高い伸率をみており増加傾向にあるものの、金融庁では大企業向や地方公共団体,個人向け住宅ローンであり、地域の人口や企業が減れば貸出先も減少するという見方です。貸出競争の激しい都市部では、貸出金利は低下しており、預貸金利ザヤも平成20年3月期以降低下傾向にあります。
バブル経済崩壊後、大手金融機関は3メガバングに集約された一方,地銀、第2地銀は現在も105行存在。市場規模に比べ地銀、第2地銀の数が多すぎるオーバーバンキング状態です。

金融庁、新長官就任で地銀再編「とりうる手段はほかにある」
7月4日には畑中前金融庁長官を引き継ぎ細溝新長官が就任。検査・監督の連携強化やグローバルな規制強化への対応など新たな金融庁の路線を確立します。畑中前長官が地銀、第2地銀の再編に前向きだった一方,細溝長官は中長期的な経営戦略として「とりうる手段はほかにある」とし、地銀、第2地銀再編には慎重な姿勢をみせました。
レポートでは、地銀、第2地銀の儲からないビジネスモデルが露呈されましたが、新長官就任により新たな手腕を見せるか注視されます。

[2014.7.16]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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