「大企業」は法人税減税、「中小」は外形標準課税を適用し増税?資本金1千万円以下、赤字法人でも課税
税制調査会「広く薄く負担する構造へ」
政府の税制調査会は6月25日、法人税改革に関する提言の最終案を公表。法人税の実効税率を来年度から引き下げる際には、広く薄く負担を求める構造にすると指摘。赤字企業でも外形標準課税の対象を中小企業にも広げる方針を示しました。
安倍政権は、6月24日閣議決定した「骨太の方針」で約35%の法人実効税率を数年かけ20%台に下げることを明記。税制調査会の提言をたたき台に年末にかけ政府・与党で税率の下げ幅や約3兆円の代替え財源を決定します。
資本金や売上高,土地の面積,従業員数をベースに課税
外形標準課税とは,資本金や売上高,土地の面積,従業員数などをベースに課税され赤字法人にも適用。平成16年度から資本金1億円超えの法人を対象に従来の所得割に加え,付加価値割の外形基準による課税が行われています。これを中小企業にまで広げようとしています。
日本は原則、赤字法人には課税しません。資本金1億円未満の中小企業はほぼ赤字のため法人税を納税していません。
1社当たり161万円の負担
日本商工会議所の試算では、外形標準課税が強化され中小企業にまで適用されると1社あたり161万円の増税となります。消費税率が引上げられ転嫁できない企業や電気代や燃料費など高騰し中小企業の負担は大きい状況。外形標準課税が適用されれば危機的な状況に陥る可能性も高まります。
代替え財源が決まらぬまま法人税引下げを成長戦略に掲げた安倍政権は、財源探しにパチンコ税や携帯電話税などの声も浮上しています。
253万社の7割が赤字法人
国税庁の税務統計によると、平成24年度の日本の法人数は253万社。このうちの85%の216万社が資本金1,000万円以下の中小企業で全体の約7割が赤字法人。現在、外形標準課税は0.7%の1万8,999社にしか適用されていません。
確かに7割の中小企業は赤字で法人税を収めてはいないものの、2,000万人以上の雇用を維持し所得税や社会保険料も払っているのも現状。外形標準課税の強化による中小企業への負担が懸念されます。
[2014.7.3]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 「大企業」は法人税減税、「中小」は外形標準課税を適用し増税?資本金1千万円以下、赤字法人でも課税
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/1770
コメントする