中国のカード延滞過去最悪!小規模事業者の業績悪化が原因?一部金融機関は債務免除
中国人民銀行:延滞額は前年の66%増
中国経済網など中国メディアは6月9日、クレジッットカード債権の延滞が興業銀行などで目立っていることを指摘。中国人民銀行の統計によると今年3月末時点で返済期限を半年以上過ぎた延滞額は、前年同期比66%増の281億人民元(約4,600億円)と過去最高を記録。
小規模事業者キャッシングなどで資金を調達し破綻
キャッシングなどで資金を調達し、運転資金に充てる自営業者などが延滞額を押し上げているとしています。
小規模事業者キャッシングなどで資金を調達し破綻
キャッシングなどで資金を調達し、運転資金に充てる自営業者などが延滞額を押し上げているとしています。
中国では、失業率も安定して推移しているものの、延滞額が年々増加しているのは高額利用者が増加しているからと見られています。
上海商会:「80%返済で残額返済は免除」
中国の金融機関,準大手の民政銀行では一部の顧客を対象に債務免除に乗り出しています。福建省周寧県上海商会は今年5月、民政銀行を取引先とする会員に対し「延滞した元金の80%返済で残額返済は免除」と通知。金融機関では利息や遅延損害金を免除することはあるものの、金融機関が一部とはいえ元金を免除することは異例です。
同商会には、上海で小規模な企業経営者が加盟。鋼材商社や不動産業などが金融機関から借り換えがうまくいかずクレジットカードに資金を頼った結果、延滞額の増加に繋がりました。
手数料欲しさの金融機関、収入不安定な自営業者へも発行
中国では、手数料収入を増やしたい金融機関が収入が不安定な自営業者や若者も含め積極的にクレジットカードを発行。平成21年頃より急速に普及が進みクレジットカードの利便性やポイント還元などでカード利用を促し消費を下支えしてきました。
延滞額281億人民元(約4,600億円)は氷山の一角
延滞額281億人民元(約4,600億円)は氷山の一角
今年3月末時点でクレジットカード発行枚数は4億1,400万枚に達し、中国人のおよそ3人に1人がクレジットカードを所有。金融機関がクレジット顧客に設定した利用限度額は、過去5年で4.6倍に達します。この数字は適切とは言えない与信判断の、破綻予備群とも読み取れ281億人民元(約4,600億円)は氷山の一角なのかもしれません。
クレジットカード利用は社会のクリーンさの指標
クレジットカードは、約束を守る「契約」があり、合意の上で対価やサービスに代金を支払う信用社会の中で利用されるものです。健全なカード社会は銀行口座や決算手段、高度な決済技術を背景に、その国の社会のクリーン民度を表していると言えます。
不透明感の中国経済を表す一つの指標
高度な信用社会の意味を理解せずに利便性だけを優先し使用すれば、延滞などの事故にも繋がります。衰退傾向にある中国経済は先行き不透明。今回の一部債務免除で財務内容の健全性を図っている金融機関の取り組みは、先行き不透明感の中国経済の未成熟さを表す一つの指標と言えます。
[2014.6.21]
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