金融庁「地域金融機関の対応調査」、円滑化法後の対応を「評価する」の5割強は多い?少ない?
地域密着型金融の取組みを調査、対象1,049名
金融庁は8月9日、「地域金融機関の地域密着型金融の取組みなどに対する利用者などの評価に関するアンケート調査結果などの概要」を公表。調査は、今年5月から6月にかけ、中小企業者506名や商工会議所、商工会の経営相談員など444名、消費生活センター職員99名の1,049名を対象に、金融機関の取組みについて意見をまとめました。
コンサルティング機能:訪問回数、情報提供などを評価
中小企業など「顧客に対するコンサルティング機能の発揮」についてでは、事業所への訪問回数を数値目標とし、顧客の声に直接耳を傾け、情報の提供や、周辺の事業者や中小企業診断士などの紹介もあると金融機関を評価。事業者のニーズに対応するために支店と本店が常に連携を取り合い相談でき、ビジネスマッチングにかける時間や人員を費やし販路を広げる機会になったとの意見もありました。
一方、担当者の交代など、取引先の紹介やアドバイスなどが頓挫してしまうとの不十分な意見も上がります。ビジネスマッチングでもイベント的でなく直接、取引先企業を紹介して欲しいなど現実味を帯びた声も上がります。
目利き能力:企業の強み評価する人材育成を期待
融資に関しての「目利き能力」については、渉外担当者を専門学校などに通わせ能力向上に役立て、事業価値を評価し融資に応じるなどを評価。一方、財務関連書類の枚数を評価し、企業の強みを評価する担当者が少なく、より一層の人材育成を期待しています。
「経営改善・事業再生に向けた取組み」では、経営支援を設置し中小企業診断士など資格を持った職員を配置するなど積極的な姿勢を評価。経営改善計画の策定についても親身に経営支援を実施しているとしています。一方、アドバイスがコストカットだけであったり、事業者からの要請がなければ指導、支援が得られないなど不満の声もあります。
円滑化法後の対応:積極的評価5割強、消極的評価1割未満
今回の調査では、中小企業金融円滑化法終了後の地域金融機関の対応についても調査。金融機関の対応について「十分」が12.0%、「概ね十分」が39.9%と積極的評価が5割強。一方、「やや不十分」と「依然として不十分」合わせ5.1%と、消極的評価は1割未満と、5割強が多いか少ないか金融機関を評価しました。
東京商工リサーチが8月8日に発表した7月の企業倒産件数は、1,025件と9ケ月連続し前年同月を下回りましたが、昨年の7月は1,026件とわずか1件差。業種別では、情報通信業が前年同月から31.25%増加し、小売業が28.33%と増えています。先伸ばされた中小企業金融円滑化法は、参院選が終了し封印が解かれ、金融庁の新たな指導などによる金融機関のこれからの対応が注目されます。
[2013.8.16]
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