民間資金を活用するPFI法改正!「官から民」へ運営譲渡で道路や空港、規模は12兆円
9月に官民連携ファンド設立、PFI事業を金融支援
民間資金を活用してPFI(Private Finance Initiative:民間資金活用による社会資本整備)を促す改正PFI法は、6月5日の参院本会議で可決、成立。公布から3ケ月以内に施行されます。政府は、官民連携のインフラファンド機能を担う「民間資金等活用事業推進機構」を今年9月にも設立し、独立採算型などPFI事業に金融支援を行います。
アベノミクス第3弾の成長戦略の柱となるPFIの導入により、インフラ整備や施設・サービスの提供を「官から民」へ移し、企業の事業への刺激による成長力の底上げと、財政負担軽減の一挙両得を狙います。国の資金が呼び水となり成長するインフラ事業へ民間投資を促します。
老朽化が進む高速道路や、赤字空港にPFI導入
PFIは、道路や空港、公共施設などの整備、管理・運営に民間の資金やサービス、ノウハウを使う手法で平成11年7月に導入。平成22年末までに368件の実施方針の公表件数があります。安倍政権は、PFI推進を掲げ老朽化が進む高速道路や、国内98ケ所の多くが赤字とされる空港運営などに導入。今後10年間で過去10年間の実績の3倍、約12兆円規模に拡大さる方針です。
国や地方自治体は、運営権を民間に売却することで得た資金を建設費などの返済に充てられます。一方、企業側では巨額な施設を建設することなく運営できる両者のメリットは大きく、民間のノウハウでサービスが向上すれば利用者の増加にも繋がります。
道路や空港など大型PFI事業の実績はなし、国交省は法整備へ
PFIは、これまで学校や公務員宿舎などで導入実績はあるものの、道路や空港など規模の大きい実例はありません。国土交通省では、PFI推進に向け今後、法整備を進める方針を示しています。
関西国際空港と伊丹空港を管理する新関西国際空港会社は、約1兆2,000億円の建設費返済のため、来年にも運営権を売却する入札を実施する方針を示しています。また、東京の首都高速道路の半地下に天井を設け、造成した土地の運営権や空中の利用権を売却する構想もあり、愛知県でも有料道路8路線を民間へ委託する特区を国に要望しています。大型案件は、今後も官から民へ増えることが予測されます。
収益性優先で値上げや経営破綻の懸念も、「企業、事業」の選別が鍵
PFIの導入は、国や地方自治体、民間企業、利用者にメリットがある一方、運営を任された企業は収益性がとれるか課題も残ります。収益性を優先させるための値上げや、反対に経営破綻となれば大規模施設ほど利用者にはマイナスとなります。また、売却する企業の運営力など、企業、事業の選別が鍵となります。
道路や空港など、今後20年で建設から半世紀以上のインフラ、施設が急増します。老朽化するインフラに安倍首相の掲げる「民間活力の爆発」により安全性を優先、利用者へのサービス向上で民間資金が活用されようとしています。
[2013.6.17]
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