「消費税還元セール」禁止法案!小売業界は猛反発、甘利大臣「消費税は還元するものでなく、国に収めるもの」発言の怪
消費増税の実施:今年4〜6月のGDP成長率で10月に判断
来年4月に予定されている消費増税まで1年を切り、景気はアベノミクス効果で改善が見られつつあるものの、負担増が中小企業など円滑に価格転換できるか課題が残ります。消費増税は、今年8月に公表される「4月~6月期実質GDP(国内総生産)成長率」などの経済指標で景気回復の判断を見極め、予定通り消費増税するのか今年10月頃に最終判断されます。
長引くデフレにより価格の下落が収まらないなか、大手小売業などが取引先の中小・零細企業などに対し、増税分の価格転嫁を拒否したり、値引きの強要などが懸念されます。
「消費税還元セール禁止」を法案化に疑問も
公正取引委員会は、取引先への悪質な値下げ要請や、増税分の上乗せ価格を拒否するなどの監視を強化。政府も「消費税還元セール」などの値引きを禁止する特別措置法案を今国会で成立させる方針を示しました。
甘利経済財政・再生相は4月12日、「消費税は還元するものでなく、国に収めるもの」と指摘した上で、「より安く消費者に商品を提供することは自由」と述べています。スーパーなど「増税分は当店負担」や「増税分値引き」、「増税分、ポイント付与」など消費税と関連づけたセールを禁止するとしています。消費者か小売業か、その納入先が増税分を負担するのか、景気が良くなれば消費者が負担するのが本来の消費税ですが、少し的が外れた感もあります。
小売業界は猛反発!「価格は自由」、「法律つくる自体理解できない」
「消費税還元セール禁止」への法案が4月12日、国会で審議入りしたことを受け小売業界では批判が続出。「価格は自由競争」や「法律を作る自体が理解できない」など反発の声が上がります。
問題は消費税に関連づけたセールの禁止であり、表現の問題であるため企業努力の範囲内で通常のセールとすれば問題はないはずです。誰も増税分を負担しないとは言わないでしょう。安倍首相は同日、小売業界から反発が強まっていることについて「中小企業が買いたたきなど被害に遭わないよう必要な法案だ」と法案の早期成立に向け協力を求めました。
「下請けいじめ」の防止:小売業界は理解の声も
「消費税還元セール」は、消費者にとっては歓迎される一方、抑制されれば小売業にとって増税後に予測できる消費者の買い物離れが懸念されます。一方、法案の本来の目的である「下請けいじめ」の防止には理解を示す声もあるなど業界内でも評価が分かれます。
「消費税還元セール禁止」の特別措置法案の主眼は、小売業と取引する中小・零細企業など取引する際に、増税分の価格転嫁が拒否される「下請けいじめ」にあります。株価上昇で高額品ニーズは持ち直しが見られるものの、円安の影響で生活必需品や電気、ガス料金は高騰。中小・零細企業では値上げ分も価格に転嫁できない状況に、消費増税分の価格転嫁の拒否にはやはり法案は欠かせないのかもしれません。
[2013.4.17]
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