金融円滑化法利用後の企業倒産7割増!前年同月比は28ケ月連続増加に、英サッチャー政策にヒント
円滑化法施行後、リスケ利用し経営改善ならず倒産した企業は累計728件
帝国データバンクは4月4日、「金融円滑化法利用後倒産」の8回目となる動向調査を発表。同社では、同法に基づくリスケジュール(条件変更)などを受けた後、倒産に至った企業を平成21年12月から集計。今年3月末までの同法利用後の企業倒産数は728件に上りました。
年度別では、平成23年度に247件だったのに対し、24年度には428件と前年度比73.3%増と大幅に増加。同法終了に伴う倒産の増加が懸念されます。単月では、前年同月と比較可能な平成22年12月以降、今年3月まで28ケ月連続で前年同月を上回る結果となっています。
3月倒産:負債5千万円未満、資本金一千万円未満が半数以上、小規模倒産が高水準を維持
今年3月の企業倒産件数は、836件と前年同月から19.6%減少となり5ケ月連続で前年を下回りました。負債額別でみると、負債5,000万円未満の倒産は423件と全体の50.6%と5ケ月連続過半数を占めます。資本金別でも個人経営と資本金1,000万円未満の合計は468件、全体の56.0%を占めるなど小規模倒産が高い水準を維持します。
一方、倒産に至った主因別の内訳では、「不況型倒産」が681件と全体の81.5%を占め、販売・輸出不振など業績不振が目立ちます。アベノミクス効果で大企業では一部業績回復の兆しも見えてきましたが、中小・零細企業にはその恩恵が受けられるのはしばらく時間がかかりそうです。
政府は手厚い金融支援策、輸出に依存しない中小への支援策は?
政府は、中小企業金融円滑化法の終了を迎え、中小企業支援にセーフティネット貸付や借換え・劣後ローンのほか、官民ファンドの創設や中小企業向けの相談窓口などを拡充。企業倒産抑制を強化するものの、輸出に依存しない企業などでは国内に新たな産業の創出、人材の円滑な移動も必要となります。
平成24年度の企業倒産は1万710件と前年度からは減少しているものの、6年連続して1万件を超えています。経営改善が進まぬ企業も相当数に上ると見られ、不動産リースバックなどによる資金調達やバランスシートのスリム化など準備を急ぐ必要があります。
規制緩和とともに中小支援策で経済復活させたサッチャー英元首相死去
4月8日、英国のサッチャー元首相が亡くなりました。妥協を許さず「鉄の女」と呼ばれ反発を浴びながらも英国の経済を復活させました。元首相が規制緩和政策を断行したことは多く知られていますが、同時に中小企業への政策によりその後の英国経済に成長をもたらしました。世界で競争する大企業と、国内の土台を守る中小企業の役割や位置づけを明確化。規制緩和とともに、それぞれの強みを生かす政策により雇用を創出、経済成長を成し遂げました。
企業規模の大小に関わらず、オンリーワンを持つ企業の創出で経済を活性化させたことは、今の日本の経済復活へのヒントともなりそうです。
●関連記事:セントラル総合研究所オフィシャル「モラトリアム法終了後の資金繰り支援:リスケ・資金供給は「法令から行政による指導・監視」で維持!」[2013.4.3配信]
●関連記事:セントラル総合研究所オフィシャル「再生支援機構「地域経済活性化機構」に改組!2,000億円の事業再生ファンドで延命策から出口戦略へ舵取り」[2013.3.21配信]
[2013.4.12]
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