「建築界のノーベル賞」ブリツカー賞に伊藤豊雄氏選出!復興支援「みんなの家」も世界的評価
「建築界のノーベル賞」に伊東豊雄氏選出
アメリカのハイアット財団は3月17日、優れた建築家に贈る「プリツカー賞」の今年の受賞者に、日本人建築家の伊藤豊雄氏を選出したと発表しました。
同賞は昭和54年に設立。建築学の分野において世界で最も権威があり、「建築界のノーベル賞」とも言われています。日本人の受賞は、故・丹下健三(昭和62年)、槇文彦氏(平成5年)、安藤忠雄氏(平成7年)、SANAAの妹島和世氏・西沢立衛氏(平成22年)に続き6人目の快挙です。賞金は10万ドル(約950万円)、授賞式は5月29日に米ボストンで開かれます。
建築の通念を超える革新性を評価
伊東氏は、過去にはベネチア・ビエンナーレ国際建築展の金獅子賞(平成14年)、王立英国建築家教会ロイヤルゴールドメダル(平成18年)、高松宮殿下記念世界文化賞(平成22年)など受賞も多数。代表作としては、図書館などが入った公共施設、「せんだいメディアテーク」(宮城県仙台市)やTOD'S表参道(東京都渋谷区)、ミキモト銀座2(東京都中央区)、熊本県八代市立博物館などの斬新な構造を用いた作品をはじめ、みなとみらい線の元町中華街駅や多摩美術大学図書館など。多彩な設計で日本の建築界を革新してきました。
ハイアット財団は「斬新な発想と素晴らしい建物づくりの組み合わせ」と讃えています。
「みんなの家」建設で復興支援
昨年のベネチア・ビエンナーレ国際建築展では、岩手県陸前高田市の「みんなの家」をテーマに日本館の展示を企画、同館は最高賞の金獅子賞を受けました。
「みんなの家」は、東日本大震災の被災者に憩いの場を提供することを目的とした集会施設。伊東氏や妹島和世氏らが中心となり、被災した杉の木などを利用して建てられています。現在までに岩手、宮城両県に計6軒、また、豪雨災害のあった熊本県阿蘇市内に2軒建設され、今年中にさらに数軒が完成予定とのこと。これを手がけたことも建築家の社会的責任の体現」と評価されました。
「地域に根ざした復興」めざす
東日本大震災から丸2年。伊東氏はこの間、「みんなの家」の建築活動のほか、岩手県釜石市の復興計画にディレクターとして関わってきました。現在、政府主導で進められている復興計画に対して、土木技術を頼りに地域の個性を殺してしまう画一的な計画であるという意見を持ち、地域の伝統や文化に根ざした開発を目指しています。
釜石市では「未来のまちプロジェクト」として、市営住宅や小中学校など市の公共施設の設計者を公募することになりました。住民の意思をかたちにできる意欲的な建築家を募り、公開で審査、決定する方式とのこと。復興途上の被災地から、伊東氏に次ぐ世界的な建築家が誕生することも期待されます。
[2013.3.23]
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