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第三者個人保証の排除、円滑な資金供給の障害/明治以前から引きづる民法改正!

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窮地に追い込まれた経営者はおろか保証人まで自己破産
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法務相の諮問機関である法制審議会において、中小企業への融資に求められる個人保証を排除する民放改正案が浮上しています。保証人は、融資の借り手企業が金融機関などへ返済が履行されない場合、代わりに返済しなければならない義務が生じます。過去に銀行などから融資が受けられず、事業者金融の高金利融資を利用した中小企業が窮地に追い込まれ強引な回収で社会問題化。経営者はおろか、保証人までが不動産の競売など自己破産などに追い込まれました。

金融庁:第三者個人保証求めない融資を提示、法的規制力なく徹底ならず
金融庁は、平成23年7月に「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めない融資慣行の確立」を明記した監督指針を金融機関へ提示したものの、法的規制力はなく、その後も金融機関から第三者保証を求められる例もあげられています。

経営者保証:裁判所判断で経営者の債務減免も検討
法制審議会は平成21年、明治時代から引きづる民法の契約・債権法を現代に合った法令に改めるよう専門部会を設置。改正案では、個人保証の中でも経営者本人が保証する経営者保証は例外的に認める案が検討される一方、貸し手への返済が滞り裁判を起こされた場合は裁判所が経営者の支払能力を判断。経営者の保証債務を減免できる救済案も議論されています。民法改正となれば、長年の慣行が大幅に見直されることになります。
個人保証は、中小企業の資金調達を容易にするメリットがあるものの、債務が履行されなければ善意で受けた第三者保証人へも請求され悲劇を生むデメリットもあります。

日弁連個人再生事件記録調査:自己破産の理由、4人に1人が「保証債務」の快
日本弁護士連合会は昨年、個人保証を原則禁止するべき意見書を法務省に提出。中小企業の融資において、保証人を受ける第三者にはリスクのみが背負わされ、貸し手が負うべきリスクを個人に押し付ける仕組みは間違いだとしています。
連合会の「2011年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、自己破産に至った理由では「保証債務」の割合が26%と、4人に1人が自分以外の債務で自己破産したことになります。第三者保証となった背景には、借り手経営者との人間関係や付き合いなど断われず判を押した事情が伺えます。

法案改正案の提出は、平成27年以降のスピード感??
個人保証は、中小企業の資金調達を下支えした面がある一方、法改正により円滑な資金供給が継続されるか懸念も残ります。公的機関などの保証や、短期融資などつなぎ融資の拡充も検討が必要となるでしょう。
改正案は近く専門部会でまとめられ、中間試案に盛り込まれる予定ですが今のところ最終案までは7~8割の進み具合。最終案から中間試案の公表、さらに改正要綱案のまとめには1年以上かかるとし、改正案の国会提出には平成27年以降の予定です。昨年の政権交代でスピード感を見せる自民党政権の中小企業支援策へのスピード、即効力が試されます。

●関連記事:オフィシャル「連帯保証人を求めない監督指針改正:金融庁」[2011.7.25更新]

[2013.2.21]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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