ゆうちょ銀行、住宅ローン・法人向け融資参入を民営化委員が容認!郵政グループのトップ勇退は自信の表れ?
新規事業参入、懸念残る暗黙の政府保証
郵政民営化委員会は12月18日、日本郵政グループのゆうちょ銀行が新たな事業認可を申請している住宅ローン事業や、それに伴う損害保険事業、さらに法人向け融資事業について条件付きで容認することを発表。西室同委員長は、「金融商品の多様化や機関投資家としてのリスク多様化を図るのは、民営化する以上避けては通れない」とコメントしています。
日本郵政グループは、今年10月に改正郵政民営化法の施行により、日本郵便と郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4つの株式会社を発足。間接的に政府出資が残るゆうちょ銀行の住宅ローンや法人向け融資には、暗黙の政府保証の懸念が残ります。
住宅ローン上限2億円?法人向け融資は大企業のみの疑問
条件となったのは、住宅ローンの取扱いを当初2年間は本店と直営店82店舗に限定。5年をかけて全直営店で扱えるようにするとしています。1人当たりの融資額は2億円を上限とし、住宅ローン以外のカードローンなどは上限300万円としています。上限2億円融資の正当な審査が可能か疑問より常識に温度差を感じます。
一方、法人向け融資は、零細・中小企業向けで競合する信金や信組に配慮し、融資対象を大企業に限定しています。本来であれば、手元資金豊富な大企業より、来年3月で打ち切られる中小企業金融円滑化法で資金繰りが懸念される零細・中小企業に資金ニーズがあるものの、その部分は地元の信金や信組、地銀任せの方針を示しました。
民間金融機関は猛反発!完全民営化への姿勢を問う
郵政民営化委員会が容認を発表した同日、全国銀行協会や地方銀行協会、信用金庫協会、JAバンクなど7団体からなる「郵政民営化を考える民間金融機関の会」は即座に共同声明を発表。ゆうちょ銀行の新規事業参入の容認に関し、将来的な完全民営化の実現を担保し、民間企業としての内部管理体制を徹底すべきと猛反発の姿勢をみせ、到底容認できない姿勢をみせます。
同会では、委員会の判断について公正な競争条件や、ゆうちょ銀行の適正な経営規模縮小など、これまでの民間金融機関の主張が反映されていないことを指摘しました。
日本郵政グループ、委員会容認の翌日には勇退発表
郵政民営化委員会の容認を受けゆうちょ銀行新規事業参入へは今後、総務省と金融庁が改正郵政民営化法や銀行法上から認可の是非を判断し、両省庁の認可が必要となります。金融庁では同日、ゆうちょ銀行の新規融資事業について「議論すべき項目が非常に多く、審査はほとんど進んでいない」と時間がかかることを示唆。今は認可の是非について判断する段階でないことを強調しました。
政権が民主から自民へ移り、日本郵政グループや省庁、民間金融機関と今後の動きが注目されますが、日本郵政の斉藤社長は、委員会容認発表の翌日の12月19日、新規業務への参入に目処がついたとして勇退。来年4月からの同グループの新規事業参入への自信を見せました。
[2012.12.24]
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