東大西洋産クロマグロ、捕獲量枠拡大へ!日本は資源保護で養殖場拡大を規制、解決には技術の近大マグロ
クロマグロ増えてる!漁獲量は10年前から半減したまま
モロッコで開催されている大西洋まぐろ類保存国際委員会の年次総会は、地中海、東大西洋のクロマグロの年間漁獲量を来年500トン増やし、1万3,400トンとする案で調整に入りました。同委員会の科学委員会は今年10月、同地区のクロマグロ資源量が増加したことで漁獲量を1万3,500トンに増やしても資源量が減らないことを報告。漁獲枠決定に大きな影響を持つ日本とEU(欧州連合)の合意により、来年の増枠が決まりそうです。
大西洋のクロマグロは、資源保護を目的に平成11年から漁獲枠を設定。12年には2万9,500トンあった年間漁獲量は1万2,900トンに半減しました。
大西洋産クロマグロ、最大で3m、日本近海でも2.5mの大物も捕獲
クロマグロは、まぐろの中でも最も大きく大西洋で獲れるものは最大3m、重さは700kgの超大型も捕獲されます。日本近海でも約2,5m、260kgのクロマグロが獲れ、色つやや脂の乗り具合など最高級魚と扱われています。今年、東京・築地市場の新年初競りでは、青森県大間産のクロマグロが5,649万円の史上最高額で競り落とされました。
世界のマグロ・カツオ類の漁獲量は、年間約430万トンで、このうち日本は輸入を含め約70万トンと大量消費。クロマグロの年間消費量の55%を大西洋に依存しています。
農水省:資源保護にクロマグロの養殖場、規模拡大を禁止へ
大西洋の捕獲量枠が拡大の可能性が強まった一方、日本はクロマグロの養殖に関し、小さな未成魚が乱獲されるのを目的に養殖場の規模拡大を禁止する方針を示しています。農林水産省は、今年6月に全国に137ケ所あるクロマグロの養殖場に、規模を現状維持するよう要請しましたが守られない地域もあったとして漁業法に基づき、拘束力のある「指示」に切り替えます。
同省では、未成魚の乱獲での生態系への影響や、マグロ大量消費国だけに資源管理をしっかり取り組む意志を世界に示す必要があるとしています。クロマグロの養殖場は、都道府県知事の免許制となっており、来年9月の更新時期に新規養殖場を制限するよう徹底されます。
マグロ獲るのではなく増やす!近大の完全養殖技術は世界初
クロマグロの消費大国である日本は、資源保護も世界的な生態系の影響に配慮するため規制の徹底も必要ですが、昨年6月には近畿大学水産研究所がクロマグロの完全養殖に成功しました。和歌山県の同校実験場では、未成魚を獲り大きく育て出荷するのではなく、人工孵化(ふか)から育った親魚が産んだ卵を再び孵化させる完全養殖。同校の養殖研究は約60年の実績をもち、成魚になるまで給餌を正確に管理し、味もよく百貨店などで販売されています。
日本の水産技術は、世界初となるクロマグロの完全養殖を可能にしました。獲るだけでなく増やすクロマグロの養殖技術は、海外からも注目され、普及すれば規制の強化も不要となりそうです。
[2012.11.22]
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