負債14兆のUR改革:高額賃貸物件は民営化!その他現業は行政法人?
UR保有の76万戸のうち10万戸を民営化
政府は8月28日、UR(Urban Renaissance Agency:都市再生機構)の高額賃貸住宅事業を平成26年度にも分離し、民営化する改革案をまとめました。改革案は、URの事業のうち都心など利便性の良い立地にある収益力の高い高額の賃貸事業を株式会社化。REIT(不動産投資信託)など民間の経営手法を取り入れし収益を改善。将来は、物件や株式の売却で約14兆円の負債の早期削減を目指します。
今後はURが所有する約76万戸の賃貸住宅のうち高額賃貸住宅の選別を進め、約10万戸に絞り込まれる見込みです。
UR事業:高収益と低収益事業に区分け、低収益事業だけで成り立つ?
改革案では、収益性のある事業の民営化と、高齢者・低所得者向け賃貸住宅事業や再開発事業などを行政法人化と明確にしましたが課題も残ります。採算性の低い賃貸住宅事業を引き継ぐ行政法人は収益を確保できるのか疑問です。
URはこれまでタワーマンションなどの賃貸住宅の建設や管理、公園・道路・ビルなどの再開発、宅地造成によるニュータウン事業など、民間でもできる事業を行ってきた結果、約14兆円におよぶ負債を生じました。しかし、国民の税金でありながらどの事業で収益、損失があり、誰が責任を取ったかは報じられていません。
経営監理委員会で負債削減計画を実行、リストラも確実に実施
政府は近く、行政改革実行本部で正式決定し、有識者で構成する「経営監理委員会」を設立。URの負債や繰越欠損金の削減計画をまとめ、リストラ策の着実な実施を確認し来年関連法案を国会に提出します。
URの管理する賃貸住宅は国の財産でもあり、最大限に利用し収益を上げなければなりません。民間の不動産業へ不利益な競争を強いられている物件もあるだけに意識の改革も必要です。民間の賃貸住宅は、空室率が高まれば財務状況が悪化、倒産に陥るのです。
築50年住宅、リノベーションで若者取り込み
多摩ニュータウンなど、高度経済成長期に入居が始まった賃貸住宅は40数年が経ち、計画的に整備された緑や共有スペースなど当時、入居は抽選になるなど人気を博しました。あれから40数年が過ぎ、入居者の減少や高齢化、建物の老朽化など開発当時には想定できなかった課題が見えてきました。
URでは、築50年以上の賃貸住宅の一部をリノベーション(改修)し、20~30代の若年層の取り込みに着手し始めています。URの賃貸住宅は築年数の経った物件も多いだけに、今後迫られる住宅再生の試金石でもあります。
[2012.9.3]
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