生活保護受給210万件超!過去最多、9ヶ月連続増/就労支援+積立て制度など自立を支援
生活保護受給:9ヶ月連続最多更新
厚生労働省は6月13日、全国の生活保護受給者が平成24年3月末時点で210万8096人と過去最多を更新したと発表しました。最多記録は、昨年7月に60年ぶりに更新して以来、実に9ケ月連続で更新し続けています。
平成23年度通年平均で見た受給者数は206万7,252人となり、戦後の混乱の余波で過去最多を記録していた昭和26年度の204万4464人を超えました。受給世帯数で見ると、3月は152万8,381世帯となっていますが、この数は前月比6,879世帯もの増加です。
「働けるのに生活保護」リーマン・ショック以降急増
153万にも届こうかとしている生活保護受給世帯の内訳を見ると、高齢者世帯が全体の43%と最多。しかし、働ける年齢層を含む「その他」の世帯も17%を占めています。
日本の経済成長と共に減少していた生活保護受給ですが、バブル崩壊によって上昇に転じ、リーマン・ショック以降に急増。不況の影響で失業した人が再就職できないまま生活保護を受けざるを得ない状況に陥る傾向も続いています。また、景気低迷や高齢化の進行を鑑みると、「今後も増加傾向が続く可能性が高い」という見方が強いのが現状です。
膨らみ続ける生活保護費、13年後は5兆円?! 抜本改革が急務
生活保護受給者が200万人を超え、さらに増え続けるなか、国や地方が負担する生活保護費も膨らみ続けています。平成24年度の生活保護予算は3兆7,000億円となりましたが、厚労省の試算では平成37年には5兆2,000億円に達する見込みとも。現在のペースで生活保護費が膨らんでいけば、財政事情の悪化により生活保護制度の維持は困難になることも想像に難くはありません。
生活保護費を負担する厚労省や各自治体では、自立・就労支援の強化や「医療扶助」削減など、生活保護改革に向けた協議がはじめられています。
政府案:就労支援+積立て制度
野田政権は、今年秋をめどに「生活支援戦略」をまとめる方針を示しました。NPOや民間企業と協力した就労支援や、受給者が仕事で得た収入の一部を積み立て、生活保護から抜ける際に当面の生活費として積立金を返還する「就労収入積立制度」の導入などが検討されています。
働くより生保支給の方が得!「モラル・ハザード」を食い止めよ
生活保護によってどれくらいの金額を受け取れるかは地域や家族構成によって異なりますが、場合によっては最低賃金でフルタイム労働する人の賃金を上回るとも。また、生活保護を受けることにより、納税や医療費が免除されるなどの理由から、「アルバイトなどで働くより生活保護を受けたほうが得」といったモラル・ハザードが生じているという背景もあります。
支給削減も検討!生保(なまぽ)の精神に反する本末転倒
生活保護抜本改革において、支給額の削減も検討されているようですが、そもそも生活保護費は最低限の生活が営める水準に設定されているもの。減額によって不正受給は淘汰されるかもしれませんが、本当に困っている人を窮地に陥れるのであっては本末転倒。行政には目先の生活保護の給付水準を引き下げるのではなく
[2012.6.26]
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