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エネット「節電分は返金します」:日本初!電力需給連動型の電気料金、残る課題は送電網自由化

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特定規模電気事業者(PPS)最大手エネットが新サービス:エネスマート7月1日開始
企業向けに電力を販売できるPPS(Power Producer&Supplier:特定規模電気事業者)最大手のエネットは6月6日、関東、関西地区で企業の電力の需給状態に併せて料金が変動する新しいサービス「EnneSmart(エネスマート)」を7月1日から始めることを発表。エネットは、東京ガスや大阪ガス、NTTファシリティーズの3社が共同で出資したPPS事業者。

電力逼迫時に企業へ節電協力の要請で協力分を返金
新しいサービスは、真夏の電力需要が供給を上回る事態が想定された場合、利用企業に節電協力を依頼し、事業所に設置されている自家発電を利用。その電力協力に対してインセンティブが返金されるサービス。すでに三越伊勢丹や王子製紙、フェリス女学院などの利用も決まっており、サービス開始から10社以上が利用する見込みです。

新サービスエネスマート:使用料減らせば報酬、通常時は安く設定120611_1.gif
エネスマートの料金は、電力の需給状態が厳しくなると単価は大幅に高くなる一方、逆に使用料を減らせば報酬が支払われます。さらに、電力緊急時に変動するプランを利用する企業には、通常時間帯の単価も安くなるシステム。協力する企業のメリットを大きく、採用企業の拡大を目指します。

エネットは電力供給実績あり!
エネットは、全国に7,000以上の顧客に電力を供給してきた実績があり、電力需給連動型の新サービスは拡大の余地は十分あります。同社では、契約企業が電力の使用量を常に確認できるようにネット経由で最新の情報を提供するサービスも始めるとしています。

計画停電:電力あったのに送電網の機能停止で送電できず
エネットは、発電した電力を東電など電力会社の送電網を利用し契約企業に供給しており、電力会社へ送電網使用料として託送料金を支払っています。発電でいくらコストを削減しても、送電網を独占されれば競争原理は生まれません。平成23年の震災で原発が停止し、関東では計画停電が実施されました。エネットなどPPS事業者や民間企業の自家発電など、電力供給能力がありながら送電網が止まったため電力を送ることができませんでした。
昨年の計画停電は、発電と送電の独占をが生んだ弊害です。発送電分離こそが電力供給の完全自由化となり、電力やサービスの競争原理で新しい電力市場も生まれます。送電網が自由化となれば、今東電が声高に主張する一方的な料金値上げも抑制されることでしょう。

世界トップレベルの自然エネルギー技術も送電網独占で低自給率
日本の自然エネルギー技術は、世界でもトップレベルにありながら自然エネルギーの自給率が異常に低いのは、電力を送る送電網を電力会社が独占してるからに他ありません。PPS事業者や企業が価格競争のなか電力をつくり出しても、送電網の託送料金を抑えられていたら公正な価格で販売することはできません。
7月1日からは、自然エネルギーの固定買取制が始まり、企業や公共施設などでも自ら発電事業に参入してきます。現在60社近くあるPPS事業者でも、エネットの電力需給連動型の電力供給サービスの広がりも予想され、利用者の選択肢の広がりが期待されます。

[2012.6.11]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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