今期も「攻め」のサントリー/新興国市場開拓に合弁会社設立、ハイボール人気で32年ぶりに設備増強!次なる武器は「ブランデー」
サントリー:意欲的な海外展開/インドで合弁会社設立
5月24日、サントリーホールディングス株式会社(大阪府大阪市北区堂島浜2‐1‐40/代表取締役社長:佐治信忠氏)はインドのナラン・グループ(本社:インド ムンバイ/社長:Rahul Narang氏)と合弁会社「サントリーナラン」を6月にも設立すると発表しました。ナラン・グループはインドの主要35都市を中心に全国に販売網を持つ食品・飲料会社。11億人とも言われるインド市場に切り込むための大きな戦力となるにちがいありません。
サントリーは昨年、インドネシアの食品大手:ガルーダフードグループと飲料事業の合弁会社を設立。今年4月にはトヨタ自動車と、中国に環境緑化事業の合弁会社「トヨタサントリーミドリエ(上海)園芸」を設立するなど、新興国への展開を加速しています。
ハイボールの大ヒットに続け!高級「白州」「山崎」も出荷増
サントリーの近年のヒットといえば何といっても「ハイボール」。筆者の世代にとっては懐かしさを掻き立てられ、若者にとっては目新しさから、爆発的な人気となりました。現在、取り扱い飲食店は20万軒超。主力の「角瓶」は需要の急増により、一時期出荷調整に追われるほどに評判を高めました。
ハイボール人気の高まりから国産ウイスキーの存在が見直され、「白州」や「山崎」など、高価格帯の商品の出荷も前年超えが続いています。5月末から「白州」「山崎」の新商品を発売することもリリースされました。
更なる需要増見込み、32年ぶり設備増強
これを受け、同社は山梨県北杜市の白州蒸留所の設備を増強。安定供給のために約10%の生産増を見込むとしています。
およそ1億円を投資して、直径4.7m、高さ5mの木製の発酵槽を新たに4基追加し計18基とし、既に本格的稼動が始まっています。同社でウイスキーの生産能力を増強したのは山崎蒸留所(大阪府島本町)含め32年ぶりとのこと。サントリーの「攻め」の覚悟が感じられます。
次はブランデー強化、13%販売増狙う新メニュー提案
根強いハイボール人気でしばし安泰と見えるサントリーですが、今期はさらにブランデーの売り込み強化にも乗り出している様子です。飲食店に対して、ブランデーの炭酸割り「ブランデースプリッツァー」を提案。自社のサイトでも消費者向けに作り方やアレンジ方法を紹介し、次なるブームを生みだそうとしています。同社はブランデー「V・O」について、前年比13%の販売増を見込んでいるとのこと。
洋酒で築く「温故知新」の流れ
昔からのファンにとっては「邪道」と感じられる戦略かも知れませんが、洋酒に憧れた世代としては、馴染みの商品が再び認知されるというのは嬉しいもの。ウイスキーもブランデーも、洋酒の全盛期を知る人にとっては懐かしいばかりの味ですが、「酒離れ」が取り沙汰されるなかで、新しい味を知って古い酒文化に親しむ若者が増えるのも喜ばしいことだと感じています。
また、既存の商品を活用して新たな市場を開拓するというサントリーの姿は、開発のための投資が困難な中小企業こそ見習いたいものです。
[2012.5.31]
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