23年度決算発表:日航V字回復、ゼネコン、被災地の地銀が黒字へ転換「復興需要」が追い風!
日航、利益過去最高、ゼネコン4社は売上増、被災地8地銀が黒字決算
4月を新年度とした企業では決算を迎え、4月から5月にかけて売上や利益など業績、財務状態が発表されています。証券取引所に株式を上場する企業は、決算発表を行う義務があり、取引所によっては3ケ月に一度、中間報告を義務づけています。日航は営業利益過去最高、ゼネコン4社は対前年売上増、被災地の8地銀が黒字決算
日航:破綻から営業利益1,866億円、営業利益率は世界トッップクラス
会社更生法の適用を申請して約2年となる日本航空は、5月14日に平成24年3月期の連結決算を発表。純利益は1,866億円と過去最高を更新。営業利益は2,049億円、売上高営業利益率は17%と一部のLCC(格安航空会社)除けばトップクラスとなります。
売上高より利益、再上場を目指す
破綻した日本航空が業績を回復した要因には、約1万6,000人のリストラや不採算路線からの撤退。さらに法人税の減免や減価償却費の減少など法的整理に伴う再生効果がありました。また、震災やタイの大洪水など自動車部品などの緊急輸送に対応したことで売上高を後押したことも要因です。
全体の売上高は1兆2,048億円と前年より約1割減少となりましたが、賃料などあらゆる費用を徹底的に削減。昨年4月からは部門別採算を採用し、効率化を図ることで利益向上に繋げました。日航は再上場を目指しており、高収益企業へ変革が始まっています。
ゼネコン大手4社:公共工事・復興需要掴み増益へ/鹿島は倉敷のトンネル事故で減益
ゼネコン大手4社の連結決算も5月15日には出揃い、公共事業やがれき処理など復興需要によって売上高はいづれも前期から増加しました。最大手の鹿島建設の売上高は、前期比10%増の1兆4,577億円となりましたが、倉敷の海底トンネル事故の損失で純利益は前期比85.2%減の38億円にとどまりました。
清水建設、大成建設、大林組は増収増益
清水建設の売上高は前期比2.5%増とわずかな伸びとなりますが、大成建設は同比8.7%増、大林組は10.1%増と震災復興需要が後押しとなりました。3社の来期の見込みは増収増益。鹿島建設は減収増益の見通しとなっています。
被災地8地銀:黒字決算の見込み、預貸率56%に低下
被災地では被災企業を下支えする8地方銀行の3月期決算が発表され、預金合計額は前期比23.5%増の18兆3,327億円と大幅に増加しました。数多くの義援金や震災の被害による保険金、国の復興予算が流入したが要因です。
貸出金では8行とも増加し、前期比6.3%増の10兆3,983億円まで拡大したものの、預貸率(預金に対しての貸出金比率)は9.2%減の56.7%に低下。銀行に中小企業などが必要とする資金が滞留しているのが実態です。
建設や輸送、下支えする地銀など、復興需要が地域関連産業から全国の産業に波及してデフレ脱却の足掛かりにしたいのもです。
[2012.5.21]
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