急げ!次世代電力計・スマートメーターの国際標準化:過去の過ちを教訓!過当競争より新成長産業創出
関西電力:原発稼働しなければ今夏、電力供給不足41日間
電力各社で構成する電気事業連合会は3月16日、定期検査を終えた原発が再稼働の目処がたたないことについて、今夏の電力供給が国民生活や経済、産業に多大な影響を与える懸念を示しました。さらに、この状況が続き、昨年夏並みの電力ニーズが発生すると関西電力管内では41日間の供給不足が生じる見通しを発表しました。
電力不足を報じる電力会社、まるで脅しとしか・・・・
震災発生から約1年半経ち、未だ電力供給の懸念が残るとは、技術大国と言われる日本で誰も考えなかったことでしょう。再生可能エネルギーを活用したスマートハウスやEVの急速な進歩など報じられるなか、足もとでは当面の電力不足の状態はまるで電力の脅しのようにしか思えません。
節電効果約4割HEMS!進まないスマートメーター標準化
これまで節電と言えば、電気をこまめに消したりエアコンの設定温度を調整するなど電力不足に協力を惜しみませんでしたが、スマートハウスに使われるHEMS(Home Energy Management System:家庭内エネルギー管理システム)の設置で電気の使用量はコントロールされ約4割の節電も可能になります。その中核となるのは電力の使用量などを送信する電力計・スマートメーターで、経済産業省でも電力各社や電機メーカーとともに標準化を急いでいます。3月12日に「スマートメーター制度検討会」でHEMS機器の標準化を「エコーネット・ライト」で進める方針とする一方、スマートメーターの標準化は電力会社の意見がまとまらず先送りとなりました。
出遅れる日本:イタリア、スウェーデンはすでに全世帯スマートメーター設置
電力会社は省エネHEMS化が進めば供給も減り売上が下がり、さらには月1回検診に訪れる従業員の雇用もあることから消極的な姿勢をとっていましたが、震災による原発事故・計画停電で状況は一変しました。これからはスマートメーター設置にはやっと前向きとなるものの、電力会社との意見がまとまらなく、標準化が進まないのは、電力各社、関連する企業の既得権益確保しか見えず、利用する家庭や企業の不安は二の次なのでしょう。
吐出した技術でも利権が絡んで標準化遅れる。このままではガラパゴス化
すでに日本は、スマートメーターで海外から遅れをとっています。欧州ではEU指令でエネルギー節約システムの設置が求められ、イタリアやスウェーデンでは全世帯にスマートメーターが設置され、米国でもスマートメーターの運用がはじまっています。この実用化された既存技術を利用するか、他国との互換性を持たせなければ「日本独自の日本でしか使えない規格」いわゆる携帯電話同様ガラパゴス化となってしまいます。電力会社の主張は身勝手過ぎるとしか取れない利権体質といえます。
家庭用デジタルカメラが今でも海外シェアトップの理由
日本の技術は世界ではトップレベルにあるものの、事業としては成功に至らない場合も見られます。DVDプレイヤーや液晶パネル、カーナビ、DRAMメモリなど過去、海外でトップのシェアを持ちながらも競争力に負け縮小。スマートフォンでは使い切れない過剰機能に高額となりガラパゴスフォンとも呼ばれました。一方、キャノンと富士フィルムの二方式を国内で一本化した家庭用デジタルカメラでは、平成13年に国際標準化となり現在でも海外で6割以上のシェアを維持しています。
スマートメータ国際標準化!新たな成長産業
過去の教訓を生かし過当競争を避け、スマートメーターの国際標準化を推進。電力のみならずガスや水道がネットで利用者に見えるようになるシステムを作り上げるエコ関連産業こそ、世界的に吐出した技術の標準化で新たな成長産業になるのではないでしょう。
[2012.3.20]
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