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エルピーダ経営陣続投に取引金融機関猛反発!他に適任者なし?守りから攻めの経営へ変革

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現経営陣を管財人に専任、DIP型再建120305_1.jpg
経営破綻したエルピーダメモリの資金繰り計画が東京地裁への申請書類で明らかになりました。現預金残高は現在、343億円であるものの8月末には22億円に減る見通し。エルピーダメモリ存続は、経営再建に向け、後ろ盾となる支援企業が手を挙げるかが最大の焦点となります。
2月29日の債権者説明会では、支援企業について米マイクロン・テクノロジーや東芝など交渉を進める考えを示唆。坂本社長が当面続投し、現経営陣を管財人に専任し、倒産手続後も旧経営陣に経営を任せ、新たな資金を提供するDIP(Debtor in Possession)型再建を目指すと表明しました。

取引金融機関に通知せず、不意打ちで会社更生法申請
エルピーダメモリは、今年3月末の経営再建計画の策定を目指し、支援企業と資本・業務提携をまとめるため奔走するなか急遽、自力再建を断念し会社更生法を申請。主要取引金融機関では、事前の調整や通告もなく寝耳に水の状態。資産保全へ預金の引き出しなどエルピーダメモリへの信用は失われ金融機関から猛反発の声が上がっています。

エルピーダメモリ経営陣の不可解な会社更生法申請
エルピーダメモリは、4月までに支援企業を決め、スピード再建を目指すとしたものの、主要取引金融機関の協力なしで再生計画の策定はあり得ません。なぜ、このような結果となってしまったのか。1ケ月の時間がありながらも取引金融機関などへ通知せず会社更生法を申請したのか。社会における経営陣の資質が問われます。

大企業は再建への取組みスピーディも、中小・零細は個人保証で再起難航?
「会社」や「企業」など同じ言葉で括られていますが、大企業と中小・零細企業では経営責任も資金調達麺でも大きな違いがあります。エルピーダメモリのように大企業では破綻しても経営者個人の私財を失うことはありません。一方、中小・零細企業では、金融機関からの融資やローン、リースなど、経営者の個人保証が取り付けられ無限責任となり、そう簡単には破綻宣言はできません。

経営者続投で露呈した大企業と中小企業の倒産法制の差
会社更生法では、経営破綻によって経営陣が退任するのが一般的ですが、エルピーダは現経営陣で続投を目指します。大企業では、社会的な信頼や従業員の雇用問題など一度の経営破綻でも、私財も失うことなく再建を目指すことが可能で、中小・零細企業との差別感が露呈されました。

グローバル化が急激に進む世界経済:責任問題よりスピーディな判断、再チャレンジ
エルピーダメモリに限らず最近は、オリンパスの損失問題や大王製紙の資金流用、九州電力のやらせメールなど、大企業トップの判断ミスや暴走など報道を騒がせます。高度成長期の時代、日本の産業は世界へ拡大させるため大企業経営者はある時は勝負をかけ、博打をうつようにスピードある判断をしてきました。バブル崩壊から景気不低迷、デフレなど長年続き「攻め」から私財を肥やすように「守り」の経営に変わった感があります。
エルピーダメモリの坂本社長の続投は、「守り」の経営が蔓延し「誰がやっても一緒」と、他に誰も適役がいないようにも見え、今の政治を映し出しているようです。グローバル化が急激に進む今、攻めの経営やスピーディな判断、利益ある事業へのチャレンジが必要に思えます。

[2012.3.5]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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