【平成24年】日本経済はどうなるVol2/政府予測、民間シンクタンク上回るGDP成長率
GDP成長率:政府予測は実質2.2%、民間予測は1.7~1.8%
政府は昨年12月22日、平成24年のGDP(国内総生産)成長率を実質2.2%、名目で2.0%とする経済見通しを了承しました。政府は毎年12月に翌年度のGDP成長率や個人消費、物価上昇率、完全失業率などを予測。内閣府が財務省などと調整した上で作成しています。
政府は平成24年度の経済成長について、平成23年度第3次補正予算に盛り込んだ復興対策予算や第4次補正予算に盛り込まれたエコカー補助金の復活など国内での消費増大を予測。欧米の経済不安から減速傾向にある輸出も増加、成長率を押し上げるとしています。一方、民間シンクタンクなどでは、アメリカ景気の失速や円高傾向で平成24年度の成長率を1.7~1.8%と政府より悲観的な見通しを示しています。
今年も欧州と米国には要警戒
先月発売された大手経済誌では、揃って平成24年の経済動向を掲載しており、欧州の金融不安を重大視しています。週刊東洋経済は「欧州崖っぷち、景気後退で混迷長期化、量的緩和も収束せず」や週刊ダイヤモンドの「忍び寄る世界同時不況の足音、世界不況は回避できるか?」、日本経済新聞には「金融市場はイタリア債務が最大の懸念」とマスコミはどこも悲観的です。
米国経済指標が好転しはじめているとの報道がなされているものの、高い債務残高、歳出・税制改革がなく、いまだ不透明さがあります。日本の外貨準備高は1兆3,000億ドル。欧州以上に米国が日本に与えるインパクトは甚大です。一時期の「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」との例えから、米国経済動向には注目が必要です。
平成24年ど予算:国債発行49%の44兆円/円高対策為替介入資金30兆
平成24年度予算案を90兆3,339億円と前年度から2.2%減となりますが、復興予算など特別会計での計上で実質的には過去最大となります。国債発行額は44兆円と借金が税収を上回り、歳入に占める割合は49%と過去最悪となっています。
輸出産業の収益を圧迫する円高対策として、為替介入資金を30兆円増やし、195兆円にするなど緊急性の高い予算が盛り込まれました。安住財務相は、「いかなるときも果断に介入を決断するようにする」と強調しています。日銀は昨年10月末、9兆926億円と過去最大規模の円売り介入を実施したものの、その介入効果は継続しませんでした。
為替介入資金額「うちはこれだけ」を明記する意味がまったくわからない
歴史的な円高は、輸出産業の収益を悪化させ清算拠点の海外移転や素材の輸入拡大など国内空洞化を加速させます。円高要因となる欧州債務危機や米国経済低迷など先行きは不透明。さらなる対策も必要となりますが、一瞬の隙もない、取るか、取られるかの、狡猾な世界金融界を相手に「うちはこれだけ」と、明記してしまうことは、本当に意味があるのでしょうか?
歴史的な円高は、輸出産業の収益を悪化させ清算拠点の海外移転や素材の輸入拡大など国内空洞化を加速させます。円高要因となる欧州債務危機や米国経済低迷など先行きは不透明。さらなる対策も必要となりますが、一瞬の隙もない、取るか、取られるかの、狡猾な世界金融界を相手に「うちはこれだけ」と、明記してしまうことは、本当に意味があるのでしょうか?
また、東電の処理も見逃せません。公的資金1兆円投入、民間金融機関にも1兆円の追加融資、政府認可のいらない企業向けを2割程度値上げで約5000億円の増収を図り、次いで政府認可を受けて一般家庭向けも1割程度値上げする、というシナリオです。お金の処理の話題のドサクサに紛れて、電力事業そもそもの問題、つまり天下り利権のむさぼり放題、とされている「送電事業」や「発電事業」の見直しを棚上げされたのではかないません。
今回の予算は空前絶後の規模、「日本再生元年予算」と自画自賛?
平成24年度予算案を「日本再生元年予算」と自画自賛とした野田首相。政府の楽観的経済見通しが現実のものになるかどうかは、今年も予断を許せそうにありません。
[2012.1.3]
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