H&M「日本は魅力的な市場」少子高齢化、成長鈍る日本市場でも、来年は店舗倍増計画
消費者態度指数3ケ月連続上昇も現実は
内閣府が8月8日に発表した「7月消費動向調査」によると、今後半年間の消費者の意識を表す指数である一般世帯の消費者態度指数が、前月から1.7ポイント上昇し37.0となり、3ケ月連続で改善されました。数字上では、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4項目で上昇が見られましたが、調査対象の年代、地域などによっても一概に数字通り明るい兆しとまでは言えないでしょう。
国内産業は、記録的な円高や電力不安から利益を圧迫され海外シフトが進み、国内は産業空洞化や少子高齢化で、起業は内需型産業はエネルギー、医療・介護産業などへの新規参入が促されます。
国内店舗15店を来年は2倍の30店舗へ拡大
先細りする国内市場で、スウェーデンのファストファッション世界シェア第2位のH&M(ヘネス&マウリッツ)は、現在の12店舗から来年には30店舗に倍増させるとメディアのインタビューで明らかになりました。ファストファッションはスピードある商品開発と売場鮮度の高さ、低価格で消費者に先端ファッションを提供しています。
同社では、リーマン・ショックに揺れる平成20年9月に日本初上陸。銀座店をオープンして以来3年で12店舗にまで拡大。今年も福岡、大阪、藤沢に3店舗オープンが予定されるなど業績は好調で、国内小売業が低迷を続けるなか、H&Mのファッションが日本の消費者ニーズを捉えたようです。
店頭でサイズがなければ売り切れ、消費者心理も影響か
H&Mのカール・ヨハン・パーションCEOは、「日本は店舗当たりの売上高や収益性が高く、魅力的な市場」と報道などとは真逆に評価しています。H&Mは欧州を中心に30ケ国、1,600店以上の店舗を構え、斬新なファッションをスピーディに開発。アシアなど契約工場から店頭へ次々に送り出し、在庫は持たず、利益率も23%とユニクロの約2倍と言われます。一見リスクの高い手法のように見えますが、日本での事業は拡大しています。
通常、アパレル業では、店頭でサイズがなければバックヤードから持ってきたり、メーカーへ取り寄せるなど手間がかかるものですが、H&Mでは、品物がなければ売り切れですとの対応。消費者心理も手伝い、店頭には開店前に行列も珍しくありません。商品は1日ごとに入れ替わり、1アイテムを2週間で完売させ、次のアイテムが入荷させ新鮮さを与えるなど国内市場に新しい風が吹き込みました。
横並びファッションからの脱皮増加か?変わる消費者意識
H&Mは、「ファッションとクオリティを最良の価格で」をコンセプトにデザイナーやバイヤーなど本社に集結し、世界に先端ファッションを提供。消費者は、毎週入れ替わるアイテムにコーディネートなどのファッションを楽しみセンスが磨かれ、「おしゃれ=ブランド」という意識が変わり始めました。
日本では、小学生がランドセルしょって、中学では学生服で通学、就活では皆が同じスーツ、同じブランド品のバッグを持つなど、海外から見ればファッションの個性が抑圧し異様に見えたことでしょう。外国企業から見ればまだまだ世界の非常識な部分も日本にはあるでしょう。消費者や取引先など変わるニーズをしっかり掴みビジネスチャンスを生かしたいものです。
[2011.8.23]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: H&M「日本は魅力的な市場」少子高齢化、成長鈍る日本市場でも、来年は店舗倍増計画
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/560
コメントする