高島屋など百貨店がSPA(製造小売)で低価格に切込む!
売上げ31ケ月連続前年割れ
日本百貨店協会によると全国の百貨店の9月度の売上げは(進展、閉店の影響は除く)前年同月比5.2%減で、31ケ月連続前年同月割れとなっています。厳しい残暑でこの時期の主力商品の秋物の衣料が苦戦したためだったようです。しかし10月に入り急激に冷え込み、秋冬物の紳士服や婦人服、コートなどが売上げ好調となり、10月度はようやく前年同月を上回ったと報道がありました。大丸札幌店が12.6%増、松坂や名古屋店もセ・リーグ中日優勝で5.4%増、伊勢丹首都圏店舗が2.2%増と都心店舗では増加傾向のようでしたが、高松、松山など地方店舗の多くは前年を下回ったようです。
SPA事業が利益拡大へ
百貨店の売上げの主力となっているのは衣料品で売上げの構成比は35%と言われ、デパ地下の食品よりも利益率が高いようです。同協会によると百貨店での衣料品の売上げは13年連続前年割れで、市場の縮小化が進むと同時に、割安感があり機能、デザイン性の高いユニクロやH&M(スウェーデン)、GAPやフォーエバー21(米国)などの勢力の拡大も売上低迷に影響があるようです。
勢力の拡大にあるこれらのブランドはSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel:製造小売業)事業によって利益を上げ店舗を拡大しています。ユニクロは国内での展開の後、ニューヨークやフランス、アジアの国々に進出、グローバルブランドに成長を遂げました。
カシミア100%セーターが1/4の価格に
高島屋では低迷が続く主力の衣料品にSPA事業を取り入れ、第一弾としてカシミアのセーターを従来品の1/4の価格で発売すると報道がありました。高島屋が行うSPAは、モンゴルで原毛を買い付け、中国の協力工場に生産加工を委託、婦人服売り場で小売りをするもので消費者ニーズに迅速に対応できる体制を整えるとしています。衣料品の第6次産業とも言えるでしょう。
高島屋が目指すのは、最新の流行を取り入れたデザインで大量に生産し、多くの店舗で販売。店舗のない地域では卸業も考えているようです。、売り場では消費者の反応、ニーズを聞き出し、次の商品開発に繋げるというまさに百貨店のファストファッションです。このファストファッションで利益を上げ、業績を伸ばす計画のようで百貨店でも変革は始まっているようです。
情報をキャッチ、新しいビジネスチャンスへ
長引くデフレ経済に日銀の包括的金融緩和策や政府の経済政策効果などがほんの少し出てきた感があります。ここ数年で国内の先細りの市場から成長力のあるアジアや環太平洋国、世界市場へ進出する環境が整ってくるでしょう。今後は第6次産業など新しい産業への進出や、SPA,ファストファッションなどの新しいビジネスモデルへの取り組み事業が大きく変わる可能性があります。
電気自動車やエコロジー環境、羽田空港の24時間国際化、TPP参加協議などによって様々な産業に変革も起きてくるでしょう。
第6次産業など産業構造の変革で「モノ、ヒト、カネ」の流れが大きく変わり、新たな事業を生み出し、新しい市場で事業を拡大したいものです。これからの情報は的確に掴み、大きな流れに乗ることがチャンスとなるでしょう。
[2010.11.18]
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