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経産省:新たな国家プロジェクトの創設「少子高齢化」「エネルギー・環境制約」

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成長・発展に向けた課題:エネルギー・環境・少子高齢化に
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経済産業省の諮問機関である産業構造審議会の産業技術分科会研究開発小委員会は8月15日、「新たな国家プロジェクト制度の創設」を求める提言をまとめ、公表しました。同委員会では、プロジェクトは20~30年後の事業化を見据えており、長期で実施され政府として予算を確保すべきとしています。経済産業省では今後、本格的な震災復興に向けた第3次補正予算や平成24年度予算に反映したい考えのようです。
提言では、日本経済の成長・発展に向けた最大の課題として、「エネルギー・環境制約」と「少子高齢化」の2つを強調。エネルギー・環境分野では太陽電池や蓄電池について、従来にはない技術革新によって電力を完全自給することができる分散型電力発電社会を目指すとしています。

競合同士が統一規格で研究開発、システムを国際標準へ
一般家庭で電力を発電できる太陽光発電システムやEV(電気自動車)が家電量販店で売られる時代となって、震災は次世代発電普及のスピードを早めました。住宅、自動車産業では、太陽光で発電しEVで蓄電し、1日~2日分の電力を発電する実証実験も進んでいます。
日産自動車と三菱自動車は、EVから家庭などに電力を供給規格の統一に乗り出したと8月13日、報道がありました。誰がEVを利用するのか考えれば、統一してもらわないと困るのは消費者で、自動車メーカーによって電力を供給できないというお粗末なことは避けたいものです。両社の規格統一への取り組みが、日本のEVの統一規格となり、新たな規格が出ないことを願いたいものです。競合他社でも研究・開発を共有すれば、お互いの得意分野の技術が生かされ製品化も早まり、無駄な投資もなくなるでしょう。

重複する研究開発が6割に、自前主義から開発の効率化を促す
小委員会は、日本の再生に向け「エネルギー・環境制約」と「少子高齢化」の二大重要課題に既存技術の延長線にない技術革新への研究開発の投資を重点化し、限られた予算を効果的、効率的に活用。新らしいプロジェクトの仕組みを構築する必要があるとしています。国際的な開発競争が激化するなか、国内では同業種で多くの企業が存在し、研究開発でも重複投資が行われているのが実情です。
小委員会では、研究開発のうち、他社と重複していると認識している部分の割合が6割にも及ぶとあり、日本企業の自前主義傾向は強く、研究開発の効率化が促されています。平成21年度の日本企業の研究開発費は前年度比12%減となり、22年度は若干の回復も見られますが、平成20年度の水準にはほど遠くなるなど、これからのプロジェクトには政府の主導的な役割が欠かせません。

オイルショックから再生させた国家プロジェクト「サンシャイン計画」の経験
日本は40年前のオイルショックによって激震にさらされた経済を再生させ、エネルギー効率と環境性能で世界のトップクラスの地位に押し上げました。その背景には、クリーンエネルギーを推進した「サンシャイン計画」などの国家プロジェクトです。産官学が一体となり、研究開発を繰り返し、先端技術のベースをつくってきました。新たな国家プロジェクトは、過去から得た教訓を踏まえ、新たな仕組みを盛り込んで創設し、日本経済の再生、産業発展に繋げたいものです。
技術革新はアジア新興国でも加速され、業種によっては日本同等の先端技術もときに見られます。これからの国家プロジェクトは、効率よく得意分野で新しい技術の研究開発に結集し、例え競合他社であっても協力し合い、諸外国では真似のできないMadein Japanの製品やサービスを国内外で見せてもらいたいものです。


[2011.8.19]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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