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ぶつからないレガシィ・アイサイト/技術革新と発想で世界シェア巻き返し

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"博士号"なければ技術力、認めない
欧州連合(EU)の欧州委員会は、競争力強化に技術革新が重要な課題と考え、日欧米各国の技術を比較するための「イノベーション(技術革新)連合指標」を開発したと報道がありました。同委員会が発表した平成22年、技術革新力の調査では、1位にスイス、続いてスウェーデン、デンマーク、ドイツが続き、欧州勢が上位を占め、日本は7位とありました。日本は特許の出願件数などで優位には立ったものの、上位に入り込めなかった要因として、博士号の取得数が欧米より見劣りしたと報じています。
日本は、博士号を取得しなくても最先端の技術力、開発力で産業によっては世界のシェアを奪う力を持っています。逆に博士号を持つ人材は使いづらいなどの風潮が通っていたようです。海外では、「博士号をもっていなければ研究開発チームにも加われない」が欧米の常識となっています。過去、日本は国内を市場に研究開発、販売を続けてきましたが、これからの市場はアジアや欧米など海外に変ります。海外では、「大学を出ないと一人前じゃない」の時代から「博士号がないと一人前じゃない」に変っていたのです。この観点では、日本は世界から遅れているようです。

米紙ビジネスウイーク/アジア勢ランク5社から15社へ増加
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企業別に技術の力を比較するものに、米経済誌「Buisiness Week」が平成22年4月に発表した「世界で最も技術革新力を有する企業50社」があります。ランキングは平成17年以降毎年発表され、昨年は50社のうち、米国以外の企業が多く占めたことが特徴と伝えています。トップ10では、1位が米アップル、米グーグル、米マイクロソフト、米IBMと4位まで米国勢が占めていますが、5位にトヨタ、7位にLG電子、8位は前年ランクにも入らなかった中国の自動車BYD、10位にソニーがランクインされています。以降、アジア勢ではサムスン、インドの自動車タタ、任天堂、現代自動車、ホンダなどが続いています。平成18年には、アジア企業はたった5社でしたが、昨年は15社となり、米国ではアジアの技術力が認められているようです。日本の自動車のランクが下がり、アジア諸国の自動車が上がっているのが気になるところです。今年のランキング発表は注目です。

1月の米国中小型車の販売台数:トヨタ、ホンダがランクダウン
米調査会社Auto Data社が2月1日に発表した米新車販売で、1月の中小型車の販売台数では、現代自動車が米フォードとホンダを抜いて4位に。米ゼネラル・モータース(GM)は11ケ月ぶりにトヨタを抜いて首位となったと報じました。中小型車は、日本車が主力車種を揃え、平成21年では5割近いシェアを維持していました。「壊れない、性能・燃費が良い」と評判だった日本の技術は米韓に追いつかれた感があります。
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現代自動車の「ソナタ」は約2.5倍に伸び、3位の日産まであと約500台の差です。民事再生から復活したGMは、小型車「クルーズ」が米国民の心を掴んだのか好調だったようです。日本勢は、カムリやアコードなどの主力車がモデル末期のためか、米韓にランクを越されたと思いたいところです。両車とも今年、モデルチェンジが見込まれ、新しい技術に巻き返しが期待されます。いずれHV(ハイブリット車)、EV(電気自動車)が当たり前となる時代には、ランク上位が日本車の定位置となるよう最先端技術に磨きをかけたいところです。

なんと!/富士重工業だけが増加22%
最近、コマーシャルで「ぶつからない車」という富士重工業のスバル・レガシィを見かけます。先進運転支援システム「アイサイト」という人間の目と同様に2つのCCDカメラを車載し、3次元的に前方の状況を分析、衝突の危険を感知すれば自動でブレーキをかけてくれます。
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追従機能では、先行車の減速幅が大きい状況でも前の車と距離を維持し追従が可能で、渋滞時などには非常に便利な機能です。富士重工業は、自動車産業では類を見ない発想「アイサイト」で、平成22年の販売台数は約650,000台と過去最高となるようです。米国市場でも日本の自動車メーカーが前年割れを起こす中、富士重工業だけは前年比21.8%増と過去最高を更新したようです。レガシィは2011テクノロジーオブザイヤーを受賞しました。
最下位の自動車メーカーだから作れた!森社長談
富士重工業の森社長は、先日、ドキュメンタリー番組に出演。同社は、戦時中は戦闘機を作る航空機メーカーで自動車産業に参入。日本の自動車メーカーでは最下位だから作れたと伝えました。長く受け継いできた「技術の蓄積と革新」と現社長の森氏が決断した「強みを生かし、弱みを補う」という経営戦略の決断で極小企業に過去最高益を出したと言います。
日本の技術は、自動車産業も電機産業もアジアを中心に海外企業に追いつかれてきています。新たな発想と技術革新で新興国などに真似のできない技術で世界のシェアを取り戻したいものです。

[2011.2.7]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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