西武池袋本店の衝撃! 61年ぶりのストライキとその影響
メディア大騒ぎ! ストライキの背後に隠された真実
8月31日、1962年の阪神百貨店以来、百貨店としては実に61年ぶりに西武池袋本店でストライキが決行されました。この日、多くのテレビ番組やニュースは、そごう・西武労働組合の強い反発を取り上げました。また、地元・豊島区や、西武百貨店ファンが昔を懐かしむ声も多く伝えられました。
マスメディアは、労働組合や地元の意向を反映して、現状維持の必要性やその重要性を強調しているように感じられました。また、今後は労働組合のこうした動きが他業種にも広がっていくだろうとコメントした識者もいたようです。
しかし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざどおり、それ以降、そごう・西武のニュースを報じるマスコミはほとんどありません。実際のところ、このストライキにはどれほどの意味があったのでしょうか?
セブン&アイの驚きの決断!西武売却の実情とは?
というのも、翌9月1日には、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスが、米国の大手投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループにそごう・西武を2200億円で売却してしまったからです。一見、2200億円は巨額に見えますが、そごう・西武が抱える約3000億円の有利子負債を考慮すると、その実質的な譲渡価額はわずか約8500万円に過ぎないということも明らかになりました。
さらに、9月4日には、新経営陣から従業員に向けて、「そごう・西武新体制のスタートにあたって」という文書が配布され、「今後は経営と執行を分離するという新しい経営の形をとる」「事業の継続と雇用の継続が守られ、店舗閉鎖やリストラは行わない」「西武池袋本店については面積縮小を伴う全館改装を想定し、館全体のプランを見直す」といったことなどが伝えられました。
ヨドバシカメラ進出!西武池袋の未来と労働組合の闘い
近い将来、西武池袋本店には、家電量販店の大手、ヨドバシカメラが出店する予定です。この出店が実現すれば、現在のテナント、特に高級ブランドや地元の小売業者に影響が出るのは確実です。そして、この変動に伴い、余剰となる人員は、そごう・西武内での配置転換に加え、総合スーパーのイトーヨーカ堂などセブングループ内での異動が検討されることになるでしょう。
4期連続で赤字を出している会社に対して、労働組合が一貫して主張する「現状維持」のスタンスは、正直、非現実的であると言わざるを得ません。確かに、労働組合は元々、従業員の権利や待遇を守る目的で存在しています。しかし、経営が厳しさを増す中での過度な「現状維持」の主張は会社の存続を危機に晒すことになるし、現場で働く従業員の中にも、そうした声は少なくないでしょうか。
労働組合の"現状維持"主張に隠された危機!
経営改革は避けられない?
もちろん、今回の売却のプロセスでは、従業員や地元、さらに消費者というステークホルダーに対する配慮があまりに欠けていたかもしれません。しかし、未だ大きな経営改革を行わないまま「現状維持」を訴える労働組合の姿勢は、短期的な視点に過ぎると思います。
9月4日に配布された文書には、「借入金問題が解決し、店舗やシステムへの投資に再配分できるようになった今こそ、新しい経営戦略や効率化の取り組みが不可欠です」とも綴られています。
ECサイトの普及や消費の多様化などで、百貨店という業態が苦戦しているのは明らかです。だとしたら、労働組合も旧態依然とした考え方を改め、真の意味で経営陣と協力をしていかなければ、百貨店の未来を取り戻すことはできないでしょう。
[2023.9.29]
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