昨年末に施行の「医薬品医療機器法」再生医療製品の製造販売、スピード承認! 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の改革も視野に
申請から承認までが、1年程度に短縮
厚生労働省が、医療機器大手「テルモ」など2社が申請していた「再生医療製品」の製造販売を承認する、と発表しました。2014年11月、再生医療普及のために施行された「医薬品医療機器法」のもとで、初の承認です。申請から承認までの期間は、従来の3年から1年程度に短縮されました。しかし、関連の医療機器の承認を巡る改革は、まだ途上と言わざるを得ません。
再生医療分野は、政府が掲げる「アベノミクス」の成長戦略の1つ。旧薬事法では、再生医療製品という区別がなく、新たな区分けが作られました。テルモの商品は、心不全治療用に開発した「ハートシート」。人の細胞を原料とした、心臓に貼り付けて治癒を促す細胞シートです。新分野だけに、「条件及び期限付き承認」という"安全弁"を設け、テルモは、発売後5年以内に、効果や安全性のデータを踏まえ、再申請します。承認スピードが欧米並みになったことは、喜ばしい。
PMDA本体の早急な改革が日本の医療機器分野を救う
同時に、薬事法に基づき、医薬品や医療機器の承認審査を行う公的機関「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」本体の改革も、スピードアップしてほしいものです。
大げさに言えば、これまで、日本の医療現場で使われる医療機器は、欧米企業が製造したものばかりでした。
技術立国・日本の医療機器には十分な可能性があるにもかかわらず、承認が遅すぎて、市場を奪えなかったのです。政府の産業競争力会議が審査の迅速化を求め、ようやく、PMDAの人員増や、柔軟な対応が始まりました。2004年設立のPMDAは、2013年時点で職員714人、審査部門458人。18年までに、職員が1000人規模に増やされる予定です。
日本の医療機器分野を支えてきたのは、中小企業です。「選択と集中」は経営の要諦ですが、この分野の「広大な裾野」にも、常に注意が払われるべきです。審査・承認のスピードアップが、中小企業にとって今も死活問題であるという現実を、忘れてもらっては困ります。
[2015.10.6]
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