市販薬の一定額以上購入で所得税が減税に。「スイッチOTC薬」は国の財政破綻回避につながるか。
年間購入額1万2000円以上で控除
市販薬を一定額以上購入すれば所得税減税になる新しい制度案を、自民党税制調査会がまとめました。1世帯あたり、年間の購入額が1万2000円を超えた場合、超過分を所得から控除する仕組みです。対象は、「スイッチOTC薬」と呼ばれる市販薬。病院で使う必要費を減らす狙いです。
OTCは「Over The Counter(薬局のカウンターで購入可能)」の略語で、医師による処方箋が必要な医療用医薬品に含まれる成分を「転用」(スイッチ)した市販薬のこと。薬の成分の効能や安全性の確認が行われ、副作用も少ない市販薬なら、病院や診療所の治療の代替となり、通院の抑制、ひいては医療費削減につながるという判断です。
医療機関への年間支払いは7万円超
スイッチOTC薬を、年間3万円購入した場合、1万8千円を課税所得から外すことができます。所得税率が20%の人なら、3600円の節税です。健診や検診を定期的に受けるなど、健康管理をしっかり行っていることも減税の条件とされました。総務省の家計調査(2014年)では、医薬品の1世帯あたりの年間平均購入額は約2万4000円で、スイッチOTC薬は、そのうち約2割。一方、病院や診療所など医療機関への支払いは7万円を超えています。
薬の効果が分かっていても、やはり医師に診てもらいたい。それが一般の患者の意識でしょう。「無駄な受診はしなくても大丈夫」の何が「無駄」なのかが納得できないと、効果的な抑制は実現しないかもしれません。とはいえ、このままの医療の使い方では、国の財政は破綻します。意識改革は一朝一夕には進みませんが、その心構えはだけは持っておきましょう。
[2016.1.20]
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