武田薬品工業が京大iPS細胞研究所とタッグを組んで再生医療分野の共同研究に着手。イノベーション創出なるか。
日本発のイノベーションに向けて
「武田薬品工業」が、ノーベル賞を受賞した山中伸弥・京大教授が所長を務める「京大iPS細胞研究所」と組んで、200億円を投じる再生医療分野の共同研究に着手しました。再生医療は、政府が掲げる成長戦略の目玉の1つ。<日本発>のイノベーションに向け、民間の動きが加速します。
武田と京大iPS研究所は、あらゆる細胞に変化できる「万能細胞」のiPS細胞を使って、がんや心不全、糖尿病など10以上の疾患領域で、新たな治療法や創薬の研究を行います。武田の湘南研究所に、約2000平方メートルの専用スペースを設け、京大と武田の研究者計60人が共同研究する体制です。大学のノウハウと研究機関の資金力を融合させた、イノベーション創出体制です。来春には100人規模とし、5年以内の臨床試験開始を目標にしています。
再生医療分野で世界と戦うために
武田のほか、「大日本住友製薬」も、京大の高橋淳教授らと協力し、iPS細胞を使って、神経難病のパーキンソン病の治療法の開発に入りました。「富士フイルムホールディングス」は、iPS細胞関連の特許を多く持つ米国の再生医療ベンチャーを300億円強で買収。「アステラス製薬」も米企業を買収し、ヒトの胚から作るES細胞を使って加齢黄斑変性症の治療法の開発を進めています。こちらはすでに臨床試験に入り、実用化が目前です。
経済産業省は、世界の再生医療市場を、2020年に1兆円とみています。再生医療は、欧米の製薬大手も手がけていますが、日本が世界に対して競争力を維持している数少ない領域。iPS細胞を巡る研究開発の成功が、大学と企業の「連携」という日本の"苦手"分野の克服につながることを願います。
[2015.12.30]
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