独アディダス(Addidas):量産にロボット投入、アジアの人件費高騰が背景
スポーツ用品で世界2位の「独アディダス」(ドイツ・バイエルン州 ヘルベルト・ハイナー社長)が、2017(平成29)年から、ドイツ国内で、ロボットによるシューズの大量生産を始めます。
生産拠点だったアジアで人件費が高騰したことが主要因ですが、ビジネスモデルの大転換です。
当時は先端をいっていたビジネスモデル
アディダスが、自国での靴生産をやめ、アジアへ生産拠点を移したのは、今から約30年前です。以来、韓国、中国、ベトナムと、人件費の安い国を求め、移転を繰り返しました。
これは時代の先端を行くビジネスモデルであり、日本もこうしたスタイルを追随し、製造業はそれなりの成功をおさめた実績があります。
ロボット生産でアジア生産の利点薄らぐ
ところが、近年は、アジア各国(特に中国)で人件費が高騰し、欧州まで製品を運ぶ際の時間やコスト増も重荷になりました。ハイナー社長は、「人件費の高いドイツでも、少ない人員でロボットの24時間生産ができるようになった。
アジア生産の利点が薄らぐ」と判断し、今回の方針転換を決めました。「今後は、あらゆる産業の動きが速く、製品サイクルは短くなる」と指摘します。
ロボットや3Dプリンターによる生産
具体的には、ロボットや3Dプリンターによるシューズ生産に切り替えます。
昨年末から、ドイツの自動車部品・医療機器メーカーと試行を進め、わずか半年で、数百万足単位を効率よく生産する道筋をつけました。
アメリカ 2018年、日本 2020年
2018(平成30)年には、大口顧客の米国でも大量生産を始めます。現在、世界で年間3億足の需要を、ロボット化で15%引き上げる方針です。
「現地製造、販売」路線として、4番目に大きな市場である日本にも、2020(平成32)年までにロボット工場を設ける計画もあります。
ただし、ロボット化は雇用大幅増にはつながらず、必ずしも現地の利益にはすぐにはなりません。このビジネスモデルが今後の製造業にどう展開し派及するか、しばらくは目が離せません。
[2016.07.14]
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