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企業倒産22年ぶりに900件割れ!金融庁・経産省、円滑化法終了後も「参院選まで倒産抑制頼む!」効果

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企業倒産:6ケ月連続前年から減少
東京商工リサーチが5月10日に発表した4月の企業倒産件数は、前年同月比10.4%減の899件と6ケ月連続前年同月を下回りました。4月としては、バブル崩壊後の平成3年の836件以来、22年ぶりに900件を割り込む低水準となりました。
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今年3月末には中小企業金融円滑化法が期限切れとなり、経営改善計画が進まない企業の倒産急増が懸念されましたが、金融庁では昨年11月1日に同法終了後の検査・監督について明確化。金融機関は、これまで通り借り手企業の状況をきめ細かく把握し、ほかの金融機関と連携しながらリスケジュール(条件変更)や円滑な資金供給に努めるべきとの方針を示しました。

麻生金融相:「円滑化法後も金融機関にしっかりやってもらう」と強調
昨年12月には安倍政権となり、麻生金融相は国会答弁でも「円滑化法が切れた後も(金融機関には)しっかりやってもらう」と強調。金融庁では、同法終了後の金融機関の対応や借入れ、取引先金融機関との間で困ったことなど中小企業などの相談窓口を全国の財務局、財務事務局に設置する念の入れようです。
金融庁や経済産業省幹部らは、議員に対して「参院選までは、中小企業倒産が増えぬようよろしく頼みます」とメディアでも伝えられました。参院選のねじれ解消までは安全運転と言われた安倍政権は、これまで円高や株安、消費者心理改善など順調に解消。残る課題は、円滑化法後のリスケジュール中の中小企業の経営改善や住宅ローン利用者、TPP(環太平洋経済連携協定)となります。
▼金融庁:金融円滑化窓口

金融機関:不良債権増加の懸念も
中小企業金融円滑化法は、これまで2度延長し期限切れとなった今年4月からは法令から行政指導による「変わらぬ対応」を金融機関へ要請しています。金融機関にとっては、金融庁の要請であれば従わらず得ない状況に不良債権増加への懸念も残ります。
金融機関では、回収できない恐れのある債権を不良債権とし、一定の引当金を積まなければならず経営には重荷となります。しかし、同法では経営改善計画を「1年以内につくる見通し」さえあれば、不良債権としないと変えました。金融庁が5月13日に発表した「中小企業金融円滑化法に基づくリスケジュールの状況」によると、昨年9月末の返済猶予額は102兆7,594億円。このうち全国の銀行や信金、信組が開示した不良債権は昨年3月末時点で約17兆円に上ります。

中小企業には負担?原材料の輸入コスト上昇に電気代値上げ
アベノミクス効果は、円安・株高など景気回復期待感をもたらしますが一方で、下請けとなる中小企業などは原材料・資材の輸入価格や電気代などエネルギー価格の上昇により負担もかかります。リスケジュールを申請した企業は370万件を超え、経営改善計画が進まぬ企業は30〜40万件と金融庁ではみています。
中小企業庁では、税理士や弁護士など団体へ対し、経営改善のための支援機関をこれまで8,165団体・個人を認定。事業再生の実務経験を備えた団体・個人がこのうちどれだけ占めるのか疑問も残ります。「参院選までは」から「参院選後には」への対応が注視されるとともに、「参院選」までの時間に中小企業は「何をするか」が問われています。

[2013.5.17]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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