中小向けリスケ3年で369万件超えに対策はファンド創設で救済!施策のない住宅ローンはリースバックで賃貸化
リスケ実行率9割超え、中小の資金繰り下支えする亀井法
金融庁は11月30日、中小企業金融円滑化法に基づく貸し付け条件の変更などの状況について速報値を発表。金融機関654社における中小企業など融資のリスケジュール(条件変更)の申請は、平成21年12月4日の同法施行から今年9月30日までに369万8,079件に上りました。
リスケジュール申請に対する実行率は、今年3月末時点に引き続き、審査中の案件などを除いても9割を超える水準を維持。申込み累計に占める実行率の割合は9月末時点で92.9%でした。亀井元金融相が肝入りで通した同法は亀井法ともうたわれ、多くの中小企業などの資金繰りを下支えする結果となっています。
リスケ申請86%は地銀、中間決算は大きな影響なし
リスケジュールの申請総数のうち、メガバンクなど主要10行への申請数は13.3%に当る49万3,347件。残りの86.7%は地銀や第二地銀、信用金庫などで占められています。
横浜銀行や千葉銀行など地銀主要6行の中間決算の経常利益をみると、15%増〜16%減と各行まちまちの状況。金融機関の財務の健全性を示す自己資本比率は、京都銀行だけが0.5%減少したものの他5行は0.5〜1%増加し、全行2桁を維持しています。一方、不良債権残高が総与信額に占める比率は、貸倒引当金の積み増しなどで増加傾向にはあるものの2〜3%の微増にとどまっています。中間決算では大きな影響はないものの年度末決算での財務状況が注視されます。
住宅ローンのリスケ28万件超え、終了後の施策はなし
中小企業金融円滑化法は、中小企業向け融資に限らず住宅ローンにも適用され、リーマン・ショック後のリストラや派遣切りなど収入が減少した場合などリスケジュールの申請で負担を軽減してきました。
9月末時点の住宅ローンのリスケジュール申請数は、28万6,456件と増加傾向に変わりはありません。このうち主要10行を除く地銀などへの申請数は88.8%と高い比率を示します。金融庁では中小企業向けには再生ファンドの創設や劣後ローンへの切り替えを促進。地銀などは、政府系金融機関や中小企業基盤整備機構、自治体などとファンド創設が活発化していますが、住宅ローンへのリスケ終了後の施策は見えてきません。
住宅ローンの軽減に負担ない賃料設定で住宅を手放さない
中小企業金融円滑化法が施行される以前、住宅ローンは3ケ月も滞納してしまうと代位弁済されました。リスケジュールも妥当性があれば応じる金融機関はありましたが、金融機関にとっては顧客と何度もリスケジュール交渉するより保証会社に保証してもらうほうが容易なのも事実です。
経済の低迷が続くなか、政治は総選挙一色と効果的な景気対策は一向に出てきません。雇用は非正規社員が増え、収入も減少。負担となる住宅ローンのリスケ終了後は、不動産リースバックなどで住宅を一旦売却後、数年間、負担のない賃料設定で住宅をリース。数年後に所有権を回復するバイバックなどで住み慣れた住宅を利用し続けることも考えなければなりません。
[2012.12.7]
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