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金融庁、円滑化法終了後もリスケの対応変わらず!中小企業庁は中小3,000件支援に板挟みの地銀

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経済対策:予備費使うより政権交代で大規模に
中小企業の景況感は依然、厳しい状況にあるなか11月16日の衆院解散により経済対策への補正予算編成は不可能となりました。政府は予備費を活用した政策や、財源を伴わない規制緩和など月内に第2弾の経済対策を打ち出すとしています。
10月には、日本再生戦略の施策を前倒しとした4,000億円の緊急経済対策を策定。第2弾は、予備費の残り6,600億円が財源となりますが、政権交代となれば経済政策への基本方針が大きく変わる可能性もあり、総選挙後に数兆円規模の補正予算を編成しなければ意味はないとの声も上がります。

中塚金融相:「リスケの取組みはこれからも続けたい」
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景気後退下のなか日本経済は政治空白となり、小売業などは売上低迷し販売価格の下落は止まりません。中小企業にとって資金繰りを緩和する中小企業金融円滑化法は生命線であり、来年3月に打切りの同法の継続を求める声は多くあります。
中塚金融相は11月16日の会見で、金融円滑化法が定着しリスケジュール(条件変更)の申出に9割、金融機関が応じたことは大きな実績。一方、副作用として倒産予備企業が増え日本経済の新陳代謝を弱めたのも事実としています。さらにリスケジュールへの取組みは、これからもずっと続けていきたいとの意志を示しました。

リスケ申請、8割以上が地銀、信金
中小企業金融円滑化法は、リーマン・ションク後の緊急の時限措置でありながら、対応の継続を匂わすコメントは、総選挙を控え企業倒産の増加は避けたい思惑もみられます。金融庁はリスケジュールした企業でも経営改善の余地があれば融資を不良債権とみなさない検査・監督方針を11月1日に改めて示しました。
現場で対応するのは金融機関で、中でも地銀や信金へのリスケジュール申請は今年3月末現在、313万件中84%にあたる263万件。中小企業庁は、中小企業再生支援協議会の支援体制を拡充。これまで年間300件台だった支援を今年度3,000件と目標を掲げますが、地銀では経費・人員体制から不可能との反発の声も上がります。

地銀:倒産させれば地域の信用喪失、延命すれば不良債権化の懸念
中小企業金融円滑化法では、リスケジュールを行っても「1年以内に経営改善計画を策定できる見込みのある企業」や「最長10年以内に経営再建が達成できる計画がある企業」の融資は不良債権にならないと規定。同法終了後もこの規定は継続されます。
地銀では、限られた取引先を安易に倒産させれば地域の信用を失い、延命させれば不良債権化の懸念も残り対応を悩ませます。金融機関と金融庁、さらに中小企業庁と顔を見合わせるなか、総選挙で政権が変わり経済政策の変革がなければ20年続くデフレ解消は見込めません。今後、各々の対応や総選挙の行方が日本経済の再生を左右することになるでしょう。

[2011.11.23]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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