日本郵政と傘下のゆうちょ銀とかんぽ生保、同時上場!総資産は260兆円超えに民間金融機関へ影響も
平成10年のNTT以来の大型上場
日本郵政グループは昨年12月26日、持ち株会社の日本郵政と傘下の金融2社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式を今年9月を目処に同時上場する方針を示しました。上場されれば、平成10年に上場時の総額が7兆円を超えたNTTに匹敵する大型上場となります。
ゆうちょ銀行は、貯金残高が177兆円を誇る日本最大の金融機関。かんぽ生命保険の総資産85兆8,000億円も日本の保険業界ではトップです。
金融2社の郵政マネーが米側へも
持ち株会社の日本郵政の株式は,日本政府が最後まで3分の1強を保有することが法律で義務づけられているものの、傘下の金融2社の株式は法の縛りからはずれ、「郵政マネー」が外資系の投資ファンドなどに渡ることも可能となります。
すでに昨年10月1日に財務省は、日本郵政株を上場する際の主幹事証券会社を決めており、海外市場にも株を放出する方針です。主幹事にはゴールドマン・サックスとJPモルガンが担うことになります。
民間金融機関,「公正な競争条件が確保されない」と猛反発!
一方,全国銀行協会の平野会長は、日本郵政が発表した上場計画について「政府関与が残ることから,民間金融機関との公正な競争条件が確保されない」と声明を発表。ゆうちょ銀行の株式売却が当面50%にとどまり、完全民営化に向けた具体的な道筋が示されていないと懸念を示しました。
安倍政権は、重要政策と掲げる地方創生に郵便局のネットワークの活用を模索するものの、今のところ具体策は出てきていません。上場により新たな金融政策が主導されるか注目されます。
日本郵政「自立的な経営が図れる」と民間金融機関との提携も示唆
日本郵政の西室社長は、金融2社の株式の売却により「早期の経営の自由度を確保し、自立的な経営が図れる」と説明。その上で、今後は地銀など民間金融機関との提携を積極的に進める方針を示しました。
ゆうちょ銀行は、これまで住宅ローンの取扱を要請してきたものの、将来的な完全民営化を担保し民間企業として内部管理体制を徹底すべきと民間金融機関は猛反発。日本郵政の大型上場により金融機関や市場にどのように影響が出るか注視されます。
[2015.1.6]
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