2016年のビール競争を勝ち抜くために、最大手のキリンが打ち出したのは「地元密着」の酒造り。
コードネーム「JI47」で逆風に立ち向かう
ビール各社の競争が一段と激しくなりそうです。若者のアルコール離れ、格安の発泡酒志向など"逆風"が続くなか、主力商品を「都道府県ごと」に造り分け、地域に密着した広告を打つ試みを、最大手の「キリンホールディングス」が始めます。新商品の開発コードは、「JI47」。「地元」「一番搾り」「47都道府県」の頭文字を並べた異色のネーミングです。
国内のビール市場は昨年、19年ぶりにプラスに転じました。しかし、その伸び率はわずか0.1%。愛飲者の高齢化が進み、若者のビール離れに歯止めがかかりません。業界からの再三の要望もあり、酒税改正では、発泡酒より高いビールの税率が引き下げられる見通しで、需要のふくらみが期できますが、それでも、味とアイデア、広告を駆使した各社の"消耗戦"に終わりはありません。サントリーはEXILE、アサヒはラグビーの五郎丸選手などPR用のスター探しに懸命です。
新潟ならば日本酒も連想させる味わいに
「JI47」は、こうした状況下で生まれた、新たな視点の戦略。人気グループの「嵐」を使ったテレビCMは継続する一方、都道府県ごとに味わいが異なる派生商品を「47都道府県の一番搾り」という名称で春以降、順次発売します。たとえば、新潟県ならば、雪国をイメージした雪のような泡立ちで、日本酒も連想させる味わいも込めます。昨年、同社の国内ビール販売量が21年ぶりに前年を上回り、布施孝之社長は「今年はV字回復の流れを本物に」と意気込みます。
「JI47」のコンセプトは、「自分らしさ」といいます。若者の地元志向はかねてより指摘されていますが、その根っこに「自分らしさ」があると踏みました。挑戦の行方を見守りましょう。
[2016.2.5]
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