2016年度にビール類の酒税改正! ビール、発泡酒、第3のビールの酒税体系を1缶あたり55円に。しかし単純な一律化は企業の死活問題にもつながる。
酒税は一律、1缶あたり55円?
来年度のビール類の酒税改正に向け、ビール大手各社が、要望書を政府・与党に出しました。ビール、発泡酒、最近話題の「第3のビール」で異なる税率を一本化し、全体では税負担の軽減を求めています。しかし、具体策にはふれずじまいで、足並みが揃っているのか疑問です。各社の主力商品がまちまちのため、水面下では、激しいつばぜりあいがあるのでしょう。
現在、1缶(350ミリリットル)当たりの酒税は、ビール77円、発泡酒47円、第3のビール28円と、原材料や製法によって大きく異なります。この3種類の税率を段階的に一本化することは国の規定方針で、「2020年から22年をめどに1缶当たり55円」などの推測が聞こえています。財務省としては、人気の第3のビールなどの税制を上げ、税収増を狙いたいところ。「異なる税率は、業界の競争環境をゆがめている」という批判の声も"追い風"です。
税率の変動が会社の生き残りに関わるケースも
しかし、税率の数値を1つに決めるのは、決して簡単ではありません。ビール大手各社を個別に見ていくとそれぞれに主力商品が違い、大げさに言えば、各社の生き残りに関わる大問題になるからです。「スーパードライ」が人気のアサヒビールは、ビールが全体の3分の2を占めます。サッポロビールも「エビスビール」のブランドが強い。一方、「金麦」などがヒットした「サントリー」は、第3のビールが、ビール系飲料の3分の2になります(販売ベース)。キリンは、3種類が均衡するバランス重視の戦略です。第3のビールの税制を上げた結果、消費者の需要がチューハイに移っては、3社とも困ります。
ビール関連商品は、日本の技術革新の象徴です。社をあげた研究・努力が商品の多様性を生み、消費者に受け入れられました。これからも、健全に競争・成長していっていただきたい。ただし、それも消費者ありきの話です。消費者の負担が重くなるような税制改正は、与しないでほしいものです。
[2015.9.22]
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