中国:GDP成長率低水準、25年ぶり/名目<実質 見え隠れするデフレの影
2015年のGDP成長率は25年ぶりの低水準
中国経済に「デフレの影」が忍び寄っているのは、間違いありません。中国国家統計局の発表した実質国内生産(GDP)経済成長率は、「名目」と「実質」が逆転し、デフレ圧力の強まりが伺えます。製造業の設備過剰、山積みの不動産在庫、金融市場の混乱----複合的な問題が原因です。
発表によると、中国の2015年の実質国内総生産(GDP)成長率は、6.9%と、25年ぶりの低水準でした。このGDP値をもとに、名目成長率を計算すると6.4%で、実質成長率を0.5ポイント下回りました。名目が実質を下回るのは6年ぶりで、デフレの影がちらつきます。こうした現象は、リーマン・ショック直後の09年以来のことで、好転の兆しはありません。
「崩れ」が崩壊にならないためには
さらに、金融市場の混乱が、中国経済に追い打ちをかけています。年明けから、株価の下落が続き、堅調な個人消費に冷や水を浴びせかねない格好です。個人が株式市場から逃げれば、成長率にも影響します。中国バブルは、株取引の増加に伴う金融業が引っ張ってきた側面もあるからです。海外への資本流出が加速し、人民元相場の下落圧力がより強まってくると、悪循環の始まり。今年は、中国の国民がそれを肌で感じる1年になるかもしれません。
もっとも、中国の15年の消費者物価は1.4%上昇しており、即、デフレに陥るわけではありません。しかし、政府発表の数字の信頼性が高いといえないなか、経済の実態が明らかになり、いったん「崩れ」始めると、その後の崩壊は急激ではという懸案があちこちで聞かれます。景気減速の"震源"である「製造業」が立て直せるかが、直近のカギといえるでしょう。
[2016.2.6]
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