銀行業績回復/景気回復:リーマンショック後の100%全額保証が80%に縮小!
大企業に比べ信用ない中小融資に保証協会が保証
平成20年のリーマンショック後に特例として認めていた信用保証協会の中小企業向け100%全額保証融資を段階的に縮小する方針が示されました。信用保証は、中小企業が金融機関から融資を受ける際、大企業に比べ業績等が不利となるため信用保証協会が金融機関に対して融資額を保証。万が一、中小企業から金融機関への返済が滞った場合、信用保証協会が金融機関へ代わりに支払う代位弁済が行われ、金融機関はリスクなく積極的でスムーズな融資が行なわれてきました。
全額保証:約100業種に縮小
全額保証の縮小は、アベノミクスによる国内景気回復基調や信用保証の収支悪化を背景に国と金融機関の負担割合を見直すとしています。全額保証は約100業種に絞られ、ほかの業種では原則80%に引き下げられ一部業種ではさらに引き下げるとしています。
信用保証された融資は、平成24年度末時点で約32兆円、中小企業約150万社が利用しています。全額保証は、中小企業の資金繰りを支援する一方,国に肩代わりされるため金融機関の審査機能を弱めるとの指摘もあります。
アベノミクス第3の矢:産業の新陳代謝促す起業を支援
信用保証協会による100%全額保証が縮小されると金融機関の融資姿勢は当然慎重となります。一方、政府系金融機関の日本政策金融公庫などでは起業支援を促す融資を拡充。安倍政権は産業の新陳代謝を促したい考えです。
アベノミクス第3の矢となる成長戦略の柱、「産業競争力法」は昨年12月に成立。縮小する国内市場で過当競争にさらされる産業の再編・集約など新陳代謝を促す方針です。
財務省、経済産業省:信用保証縮小を明言
麻生財務相は5月19日、経済財政諮問会議で「民間金融機関の目利き、経営支援を促すため信用保証を見直す」との方針を示し、経済産業省も見直しを検討中であることを明らかにしました。
アベノミクス効果で大企業の決算が大幅に収益改善と報じられるなか、円高や消費税増税でその恩恵が未だ中小企業、小規模事業者に届いていないのも実態です。「第3の矢」は産業の新陳代謝を促し、中小企業の支援策となるのか今後も注目されます。
Webで資金調調達制度の法律成立
ベンチャー企業などがWebを通じて手軽に資金を調達する「クラウドファンディング」を定めた「改正金融商品取引法」が、23日の参議院本会議で可決・成立しました。
クラウドファンディングは、Webを通じて投資家から資金を集める手段で、比較的手軽に活用できることから、創業間もない可能性を持ったベンチャー企業などからのニーズが高まっています。
投資家の多額損失を防ぐ:Web上に詳しい事業計画
改正金融商品取引法は、「クラウドファンディング」を制度として定め、安全な運用を目指すもので、具体的には、Web上で投資を仲介する会社について、一般の金融商品取引業者に比べて参入の条件を緩和します。
そのうえで、投資家の多額の損失を防ぐため、1人の投資家が1つの企業に投資できる金額を年間50万円以下に制限するとともに、資金を集める企業側が1年間に募集できる資金の額を1億円未満としています。
また、悪用されないよう、仲介会社には投資先の詳しい事業計画などをWeb上で提供するよう義務づけ、違反した場合の罰則も定めています。
信用保証制度が100%⇒80%時代、
信用力がないベンチャー企業や、創業間もない企業の資金調達には苦労がつきものです。それまで技能や技術を習得してきた人が、慣れない資金調達に挫折して会社経営をあきらめる会社が数多くありました。
資金調達には制度融資や国民生活金融公庫、信用保証を利用した銀行融資などが通例で、選択肢があまりないのが実情でした。今回の「クラウドファンディング」は資金調達に工夫が必要な中小企業やベンチャー企業に一筋の可能性を見い出すものです。
問題の多いエンジェル税制もそれなりに運用開始されている現在、私たちも早く投資と融資の併用に慣れましょう。
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