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◇リサイクル時代の『武士道』の読み方 ◇商売を顧みる:デューデリジェンスは「誓文払い」

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(37)死ぬ気で生きる!リサイクル時代の『武士道』の読み方

「武士道と云ふは、死ぬ事と見附けたり」
111123_1.jpgこれは『葉隠』(山本常朝・田代陣基)の冒頭の一文です。大東亜戦争中の特攻や自決の際にこの一節を残して命を落とした方も多く、特に有名な一節なのでご存知の方は多いかと思います。座右の銘にこれを挙げる経営者もいらっしゃいます。

「武士道の根本は、死ぬことにつきると会得した。死ぬか生きるか、二つに一つという場合に、死をえらぶというだけのことである」という文章も続き、潔く死を迎え入れることこそが「武士道」であるという解釈も根強くあります。 しかし、これは単純に死を推奨するものではありません。「決死の覚悟」と言うように、死ぬほどの覚悟を決めて物事を選択するというのが本来の意味と考えられます。屁理屈のようにも見えますが、「生き延びる」と決めたのならば 死ぬ気で生きるのが真の道と言えましょう。

かつて語られた「企業30年説」では、どんなに時代を席巻した企業も、30年経てば技術の進歩や環境の変化によって事業に翳りが見えるものとされてい ました。平成の現代では、その周期はさらに早まっています。

日本の中小企業は「創業→成長→競争→淘汰→廃業」という「優勝劣敗」の流れのなかにありました。競争に負けたら淘汰され、それで終わりだったのです。 私どもに相談にみえる企業のなかには「収益を見込んで起業したものの、頓挫した」という例も。
何がヒットするかわからないいま、企業にとってもチャンスはあると思われますが、反対に失敗した時のリスクは旧態然として大きいのが現状。リスクばかりでは起業したい人も減ってしまいます。

この「優勝劣敗」のサイクルのなか、廃業に追い込まれる企業がある一方で、「淘汰」から「再編→整理→再生→成長」と組成する企業が増えなければ、日本経済の復活もあり得ません。東日本大震災などで仮に、自分の会社が淘汰の波のなかにある と感じているとしても、決して諦めないでいただきたいのです。
不用品を再生、再利用することがリサイクル。現在では関連法案も施行され、社会にも定着しました。これからは、会社そのものもリサイクルの時代です。放置したら倒れるだけの会社なら、勇気を出してイノベーションなど「リサイクル」に取り組み、旧態勢からの時代にマッチした会社へと進化「再生」を果たし、「生きること」を死ぬ覚悟で果たしましょう。経営者よ野武士たれ。

[2011.11.10]メルマガ加筆訂正

 

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(36)商売を顧みる:デューデリジェンスでしょうか。それは「誓文払い」です。

「誓文払い」(せいもんばらい)という言葉をご存知でしょうか。商売上やむを得ず嘘をついたり、人を騙したりした罪を祓い、神罰を免れるように祈る古くからの風習のことです。「誓文」とは、神に誓う誓詞・起請文のこと。また、男女が変わらぬ愛を誓って取り交わす言葉や文書のことも指します。

遊女が客を繋ぎとめるため、常套手段として使ったのが「年季が明けたら夫婦になろう」という誓文結び(誓文固め)。結局、多くの場合、その約束が反故にされることとなるという顛末は、今も昔もあまり変わりませんが、当時の遊女は夫婦になるという神に誓った約束を破った罰が当たらぬように、と参詣してその罪を払ってもらった今日に伝わります。

それに倣い、商家や水商売の人たちは、旧暦10月20日にお参りし、日頃の商売上やむを得ず人を騙したり、嘘をついたりした罪を祓い、神罰が当たらな いように祈願したそうです。  ※起源については諸説あり

今では、主に関西地方で、10月20日の恵比寿祭(蛭子様=商売の神様)の時期に大安売りをするという習慣として残っています。元々は、普段の儲けの罪滅ぼしとして「掛け値なしの大放出」であったものを、祭事に結び付けて大売り出しを行い、さらに商売繁盛につなげる関西の商人魂はさすがと言えましょう。

「罪滅ぼし」するほどの嘘などつかないに超したことはありませんが、企業として当初掲げた目標も達成に至らず...とはしばしば起き得ること。また、消費者の心理を煽るために過剰なセールストークを繰り広げている企業も少なくはありません。誓文払いは利益追求に走り、顧客や取引先を蔑にしてはいないか、など、日頃の姿勢を顧みて、反省する良い機会と捕らえてください。もちろん、目標達成に向けての最大の努力が求められることは言うまでもありませんが。

現政権は「マニフェスト崩壊」が糾弾されています。昔の政治家は制度改革に私財を注ぎ込み、近代国家を作り上げました。財源確保が出来ないからと増税に走る前に、もっと削減すべきところがあるでしょう。

福島第一原発の事故に伴い追求が続いている東京電力についてもまた然り。「東電:清水社長の退職金5億円」との報道を受け、海外から「どうして日本人は暴動を起こさないのか」憤りの声も寄せられるほど。相手があってこそ、商売も政治も(恋愛も)成り立つのだから、当たり前のことを改めて胸に刻み、何事にも誠実に取り組んで参りたいものです。

※参考※「えびす講」「誓文払い」http://www.kisetsunootayori.com/03/23-11-15-2.html

[2011.10.20]メルマガ加筆訂正

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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