金融機関の融資残高は微増!大手6行、27ヶ月ぶりに増加/震災後初:漁協が経営破綻、新組合設立で再建目指す
企業向け融資が回復傾向/日銀・全銀協:12月の貸出動向発表
日本銀行(日銀)は1月12日、平成23年12月の貸出・資金吸収動向(速報)を発表しました。これによると、全国の銀行(都銀等、地銀、第二地銀)120行の平均貸出残高は395兆8256億円。前年同月比0.5%と、数字だけ見ると微増ではありますが、3ヶ月連続で前年実績を上回っており、プラス幅も前月より0.3ポイント拡大と、回復基調を示しています。
業態別に見ると、大手銀行などの「都銀等」は1.0%減の196兆7156億円で、平成21年11月から26ケ月連続でのマイナスとなっていますが、減少幅は前月(1.4%)より0.4ポイント縮小。「地銀」は2.2%増でプラス幅が0.1ポイント拡大。「第二地銀」の伸び率は1.1%と横ばいながらも貸出を伸ばしました。3業態に信用金庫を加えた全体の平均残高は0.4%増加、2ケ月連続プラスという結果です。
電力会社、M&A仕掛ける大企業向け融資増加で貸出底上げ
全国銀行協会が1月11日にまとめた預金・貸出金速報によると、平成23年末の貸出残高は前年比1.2%増の421兆5101億円と、3年ぶりにプラスに転じました。12月末の大手6行の融資残高は前年同月比0.2%増の178兆4024億円。こちらは実に27カ月ぶりの増加。
株式市場による資金調達が困難となっている電力会社や、海外企業買収(M&A)を手がける大企業への融資が増加した模様です。国内では中小企業への融資が充分とは言い切れません。
大槌町漁協が再建断念/震災により負債倍増
これらの報道と時を同じくして、東日本大震災で被災した岩手県の大槌町漁業協同組合(岩手県上閉伊郡大槌町安渡3-11-6/代表理事組合長:倉澤重司氏)が経営破綻との報道も。震災前から経営が厳しかったところへ、震災の影響で債務超過が倍に膨れ上がり、存続を断念したとのことです。
東日本大震災を受け、漁協が経営破綻に陥ったのは初めての例。津波によって多くの資産を失い、経営環境が更に厳しくなったなかで、多額の負債を抱えたままでは復興に向けた補助金を受けるのも難しいと判断された結果とのことですが、「人災」とも言える重罪を犯した電力会社が政府支援、金融救済を受けているにもかかわらず、地域の主幹産業を支える組合が自主再生を断念せざるを得ないというのはどうにも理不尽な気がしてなりません。
苦渋のコメント新組合設立で「脱・自転車操業」
大槌町漁協は3月までに新組合を設立し、職員を再雇用する方針を明らかにしています。地元紙には「自転車操業ではいつまでも自立できない。漁業者にとって最善の道を選んだ」という組合幹部の苦渋のコメントが掲載されていました。苦境に立たされながらも「自らの道自ら決める」この姿勢を、某電力会社や政府にも見習って欲しいものです。
[2012.1.18]
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