事業仕分け:スクラップだけでビルトなし!!先端技術の研究・予算削減に理系東大生「研究者諦める」「研究を海外で」が8割超え、頭脳流失の危機
ノーベル物理学賞、南部博士の理論が実証
CERN(Conseil Européen pour la Recherche Nucléaire:欧州合同原子核研究所)は12月13日、あらゆる物質に質量を与えられると研究されている仮説上の素粒子「ヒッグス粒子」が存在する手がかりを得たと発表しました。ヒッグス粒子は、現代の物理学の下支えとなる「標準理論」で予言されており、17種の素粒子で唯一発見されていません。
宇宙が誕生したビッグバン直後、全ての素粒子に質量がありませんでしたが、宇宙が膨張して温度が下がったとき宇宙の性質が変化したことが実証されれば、3年前にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士の理論が実証されます。
日本:ヒッグス粒子への拠出額167億円
宇宙誕生直後に物質に質量を与える「神の粒子」とも呼ばれる「ヒッグス粒子」は昭和39年、南部博士と日本人初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹博士の理論を基に英国のピーター・ヒッグス博士が提唱し「標準理論」の柱となりました。
現在、ヒッグス粒子の探索には、東京大学や高エネルギー加速器研究機構などの研究機関で38ケ国約3,000人と、欧米グループが別に実験を行っており、平成24年末までに発見が期待できるとしています。日本は、CERNの大型粒子加速器などに対する拠出額は167億円にのぼります。
スパコン「京」:世界一となり新薬開発で活躍
景気低迷が続く国内市場に中小企業にとって167億円の予算枠は、宇宙誕生の粒子発見より経済対策に期待との声が聞こえます。平成21年には民主政権に変わり、予算の無駄を削減する事業仕分けが始まりました。同年11月の第1回事業仕分けでは、次世代スーパーコンピューター「京」の予算枠に蓮舫行政刷新相が「1番じゃなければダメなんですか?」の発言に科学者などから反発を受けたことはまだ記憶に残っています。その後今年6月に「京」は世界一の計算速度を達成し、大学や研究機関などで「癌」などの新薬開発に役立てられています。
小惑星「イトカワ」の微粒子採取のハヤブサは、次の打ち上げ不可能
宇宙では、JAXSA(宇宙航空研究開発機構)が「はやぶさ」で小惑星イトカワの微粒子を持ち帰り世界初の偉業を果たしました。しかし、平成26年に打ち上げ予定の「はやぶさ2」は研究開発予算の大幅削減を決めており、残念なことに打ち上げは不可能とされています。宇宙より復興、宇宙より財政削減といった、短絡的な考え方が支配している、世知辛い日本だと言わざるを得ません。
ビックニュース!「ヒッグス粒子」存在に手がかりを発見のその陰で・・・
事業仕分けでの予算削減は、研究者を目指す若者にも影響を及ぼしています。若手育成資金の削減などを受け、東京大学の学生が平成21年に理系研究者志望の学生2,133人にアンケート調査を実施。進路希望先が「大学や研究機関」と答えた946人に育成資金が削減になった場合、「研究者を諦める」が36.7%、「海外での活動を視野に入れる」が36.4%、「海外活動が増した」が29.8%と8割を超える学生の進路に影響が出ました。
目先を見れば震災からの復興や原発収束、経済対策が急務であるものの、宇宙やスパコン、医療など日本の先端技術は子供たちの夢。10年先を見据えれば予算の削減は後々まで大きな禍根を残すでしょう。
[2011.12.17]
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