「第二の人生」に暗雲!年金支給年齢70歳に引き上げ?/負のスパイラル:年金未納増加、更なる増税も懸念
年金支給年齢またもや引き上げ「少子高齢化に対応」:厚生労働省
厚生労働省は10月11日に開催された社会保障審議会年金部会において、年金の支給開始年齢について、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げるという見直し例とそのスケジュール案を発表しました。
現行の制度では、支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることが決定しています。2階建て部分の1階に当たる定額部分は、既に65歳からの支給に引き上げられており、2階に当たる報酬比例部分は、男性は平成25年度から、女性は30年度から3年に1度引き上げられることになっています。これにより、同年度に還暦を迎える人はいずれの年金も1年間は支給されません。さらに、昭和36年4月2日以降に生まれた人は、65歳になるまで全く年金が支給されないこととなります。
いつになれば受給できる?引き上げ例3案
今回発表されたスケジュール案は以下の通り。
●従来の3年に1歳ずつ引き上げるスケジュールを前倒しし、2年に1歳ずつ引き上げる
●支給開始年齢が現行通り65歳に引き上がった以降も、同じペースで68歳まで引き上げる
●①案により前倒し引き上げを行ったうえで、さらに同じペースで支給年齢を68歳まで引き上げる
いずれにしても、支給開始年齢は68歳を目途に引き上げることが前提であり、違いはどのようなペースで進めるかということに過ぎません。また、政府内には「70歳まで引き上げる」という案もあるとか。定年を目前に控え、第二の人生に思いを馳せている方にとってはプラン変更を余儀なくされる重大な問題です。
制度に不信感募らせる若年層/更なる増税懸念
支給年齢引き上げに伴って生じる年金受給までの「空白」を補うため、政府は企業に対して、定年の引き上げや定年制度の廃止などを義務付けています。
とはいえ、そもそも従業員を定年まで雇用できる企業自体が減少している状況下、浸透にはなかなか至りません。継続雇用に至ったとしても、給料が激減したり、全く畑違いの部署へ転属を命じられたりと、リストラ紛いの対応を行う企業も少なくはないと聞きます。
働き盛りの人たちでさえ満足な働き口を見つけるのが困難であるなかで、高齢者雇用の状況が好転するとも考え難いもの。年金制度を支える若者の立場からすると、自分が受給できるかどうかもわからない年金を少ない給料から納めるのもばかばかしいと思われかねません。安易な引き上げは年金未納者の増加にもつながることでしょうし、本来の制度通りに財源が確保できないとなれば、消費税や所得税など、他の方面に影響が及ぶことも懸念されます。
制度延命に過ぎない年金改革
政府は「年金改革」を謳っていますが、実施すればするほど受給する側も納める側も不満が募る「改悪」としか思えません。
厚生労働省の試算によると、平成27年に支給年齢が61歳から62歳に引き上げられた場合、およそ8千億円の縮小効果が見込めるとのこと。制度維持のためには貴重な財源となるでしょうが、果たしてそこまでして維持すべきかどうか。そして、受給を心待ちにする身としては、年金改革を議論しているのが、年金などアテにしなくても豊かな老後が約束された人たちであるということにすら不満を覚えます。
[2011.10.20]
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