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クレジット各社、被災地回収再開:平時のマニュアル、危機下では状況悪化を招く

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クレジット各社、回収再開?経産省、状況把握要請
111019_1.jpg経済産業省は10月14日,震災から半年が過ぎクレジット会社や金融機関などが被災者などから回収業務を再開したことを受け、日本クレジット協会に対して被災状況を無視した回収をしないよう要請をしました。
同省では震災直後の3月14日、同協会に対し「東日本大震災に伴う被災者に対するクレジットの支払猶予について」を発行し、クレジット会社に対して被災者の支払条件の変更など柔軟、適切な対応を図るよう要請していました。震災から7ケ月が過ぎ、ようやく本格的な復旧作業が始まり、避難所が閉鎖され、少しずつ落ち着きを取り戻してきた時期。被災状況などを十分配慮し、被災者から身包みをはぐようなことは避けてもらいたいものです。

クレ・サラ協議会:猶予では救済無理、免除が必要
日本クレジット協会では同日、全国376社の正会員に対して特別な配慮を要請。同協会では、「被災者の事情が分からないまま一律の対応をとらないよう徹底させたい」としていますが、法的な強制力もなく会員の自主判断任せとなります。全国89団体で構成され、昭和57年創設以来、弁護士や司法書士,商工団体などと連携しクレジットや消費者金融被害の予防と救済運動を続ける「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」の本田事務局長は、「今回の震災規模では猶予だけでは救済し切れず、免除も求めて活動したい」とコメントしています。

全銀協:小切手・手形、不渡り報告掲載の猶予継続
中小企業においては中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)によって、金融庁より金融機関へ猶予の努力義務が課せられていますが、法といいながらも強制力はありません。実際、リスケジュールの実行率は90.1%で数パーセントは謝絶されているのも事実です。
金融庁は、企業が発行する手形や小切手においても震災直後、被災地域において金融の円滑化を期するよう金融機関に対し、不渡り処分について十分配慮するよう要請しました。全国銀行協会では震災以降、全手形交換所において震災により不渡りとなった手形・小切手について当分の間、不渡り報告への掲載など猶予を実施することを通知、現在も同様の措置がとられています。

平時のマニュアル、危機的状況では状況悪化させる要因
金融サービス業はじめ、製造、流通業などほぼ全ての業務にはマニュアルや指針があり、指示、指定通りに業務を遂行することによって事業が成り立っています。しかし今回の震災のように危機的な状況に陥ったとき、また想定以上のことが起こった時にマニュアル、指針通りではさらに状況を悪化させる恐れもあります。

首相の指示を待たなかった原発、吉田所長の状況判断
原発事故で海水注水を続けた吉田所長の判断。サプライチェーンを予測より早期回復させた現場の判断。現場の状況判断が危機状況を脱する要因にもなりました。震災から7ケ月が過ぎ、落ち着きを取り戻しつつあるなか、現実に向かわなければなりません。過去の経験や知識を高め,共有し状況判断を願いたいですね。

[2011.10.19]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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