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日銀基金:市場から株、不動産投資信託購入決定、デフレ脱却策

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日本銀行は10月28日の金融政策決定会合で、次回会合までの金融方針を事実上の「ゼロ金利政策」を決定しました。更に「包括的な金融緩和政策」の基金についての資産買入れに関する具体的な詳細・要領を決定しました。

関連記事日銀:10月追加量的緩和、国債・CP・ETF・REITに基金創設 [2010.10.7]

金の総額35兆円
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基金の総額は約35兆円で約5兆円が資産買入れに、約30兆円が固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションに配分されます。

株4,500億円、JーREIT500億円
買入れ資産ごとの買入れ限度額は、長期国債・国庫短期証券が3兆5、000万円、CP・社債などが5,000億円、指数連動型上場投資信託(ETF)が4,500億円、不動産投資信託が(JーREIT)が500億円となっています。資産買入れは平成22年12月から平成23年末をめどに買入れから一定期間保有したのち、徐々に市場に売却をする方針です。

日銀:市場から投資信託、株式、買入れでデフレ脱却
日銀は10月5日の金融政策決定会合で資産の買入れを決め、12月から5,000億円の資産買入れが行われます。中央銀行である日銀が株や不動産の投資信託を買入れることは世界的にも異例の事です。日銀の政策は過去、金融機関から国債などの買入れ、金融機関から資金を市中にまわしてきましたが、長引くデフレ状況の中、金融機関は資金需要のある企業の減少で貸出先が乏しく、資金が残ったまま市中へ行き渡っていないのです。
12月の買入れは日銀が直接市場から株、不動産の投資信託を買入れる事によって、その安心感から投資家などへ意欲を持たせ、市場に活況を取り戻させるという初めての試みです。株価や不動産価格が低迷した状況の中、日銀は損失が出るリスクも覚悟でデフレ脱却を目指します。

住宅着工4ケ月連続増加
国土交通省10月29日の公表によると、平成22年9月の新設住宅着工戸数は7万1,998戸で前年同月に比べ17.7%増え、4ケ月連続前年同101104_1.gif月を上回りました。上半期(平成22年4月~9月)でも40万7922と前年同期6.2%増え、半期別では2年ぶりに前年実績を上回りました。日銀のゼロ金利政策によるフラット35など住宅ローンの低金利化や、政府の住宅ローン減税や住宅エコポイントなどの経済政策が着工戸数を延ばしたのでしょう。日銀の金融政策に政府の経済対策の効果です。JーREIT買入れで不動産、建設業を皮切りに市場を活性化させ、関連した事業への普及効果が期待できそうです。


日銀の「資産買い入れ」はベストタイミングか!
日銀の10月28日の白川総裁の資産買入れについての記者会見では「(買い入れは)効果と同時に副作用も指摘されている。効果と副作用を入念に点検し、効果が勝ると判断した上で、先々の経済、物価の見通しが前の統計に比べて大きく変わってきたというときには、増額も有力な選択肢になる」とリスクも念頭に置き、効果が出れば基金増額もあるようです。
日銀では「買入れを早めたい」として11月の金融政策決定会合を早めるなど異例の変更、脱デフレに自信満々のようです。ゼロ金利政策と量的緩和、しかも日銀初の試みである市場からの資産買入れとなれば、この一連の日銀の行動には、インフレ誘導を原則としたデフレ対策を超えた何か期するものがあると感じます。

私たち中小企業や関連事業会社は、日銀の動向に細心の注意をはらって社会の動きをチャンスにすることが望ましいです。アンテナを上げて情報をキャッチしましょう。

[2010.11.3]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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