2011倒産12,734件、前年比4,4%減!/2012は円高関連倒産の増加傾向
21年ぶり!負債総額前年5割減、5兆円割れ
東京商工リサーチが1月13日発表した「平成23年(1~12月)全国企業倒産状況」によると、昨年1年間、負債総額1,000万円以上の企業の倒産件数は、12,734件と前年比4,4%減と3年連続して減少、6年ぶりに13,000件を割り込みました。負債総額では、3兆5,929億2,000万円と前年比49.8%と大幅減となり平成2年以来、21年ぶりに5兆円を下回りました。
現象原因:モラトリアム法案が一巡
件数、負債総額ともに前年から減少した要因として、中小企業金融円滑化法によるリスケジュール(条件変更)やセーフティネット保証(5号)などの金融支援策効果が一巡したと考えられます。さらに昨年は、東日本大震災の大災害によって影響を受けた企業に対して「東日本大震災復興緊急保証」などの資金繰り支援の下支え効果があげられます。
飲食業倒産:過去最多800件に増加
規模別倒産件数を見ると上場企業の倒産は、前年から6件減り4件と平成19年以来1桁にとどまり、中小・小規模企業でも前年比4.2%減の12,687件となっています。一方、従業員数構成比別では、従業員5人未満が66.9%を占めており過去20年間で最多、小規模企業を中心に推移しています。
産業別倒産件数では、10産業のうち8産業で前年から減少しているものの、業種別では農・林・魚・鉱業が5.3%増、サービス業が0.5%増加。とくに飲食業では、過去20年で最多の800件と、外食よりも家庭での巣ごもり傾向の増加が浮き彫りとなりました。
東北地区:破産手続きの執れない地域の隠れ倒産1,000件以上
地区別倒産件数では、全国9地区のうち4地区が前年から増加しました。広島や岡山など中国5県で19.5%増の519件で3年ぶりに前年を上回り、愛知・静岡など中部5県が8.5%増の1,642件と増加しました。一方、被災地を含む東北6件では、23.2%減の452件と大幅に倒産が減少したように見えますが、東北沿岸部を中心に被災し未だ手続きがとられていない企業が少なくとも1,000件以上あると見られており、破産手続きなどが進めば倒産件数が急増することも予測されます。
震災関連倒産:累計532件
震災関連の倒産では、昨年10月、11月と2ケ月連続して50件を下回ったものの、12月は56件と3ケ月ぶりに50件を超え、累計で532件となりました。倒産に集計されない事業停止など実質破綻も年末にかけ確定するなど再び増加推移へ転じようとしています。
増税内閣、景気対策先送りでいいのか?
昨年は震災にはじまり災害が中小企業を取り囲み、さらに欧州債務危機など世界的な景気後退の不安が現実化してきました。金融庁では、中小企業が一段と厳しい環境に直面するなどの懸念から、中小企業金融円滑化法を平成25年3月末まで1年間の延長を決めました。しかし景気先行き不透明のなか、景気対策に重点を置くべきにもかかわらず、増税に向けた体制固め内閣改造と、国内景気浮揚は話題にも上りません。先端技術など将来に向けた成長産業支援は話題にも出ません。
[2012.1.17]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 2011倒産12,734件、前年比4,4%減!/2012は円高関連倒産の増加傾向
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/736
コメントする